『美を見る力を保ち続ける者は、決して老いる事は無い』
フランツ・カフカ
私の目に映る彼は、この言葉がよく似合う。
" HYDE " 日本の代表的なロックバンドのフロントマン、ソロアーティストとしての活躍している。
彼の功績は音楽だけにとどまらず、一つのミュージックシーン、移りゆくファッショナブルシーン。
そして、歳月を紡いだHYDEという概念を創っていったのではないか。
時折そう思いながら、一人のファンとして、そんな彼の魅力を綴っていきたい。
Ⅰ. ダークとポップ
1994年、世に解き放たれた L’Arc~en~Ciel の1stシングル。
異国の少女のような容姿に反するような、骨太く鮮明に掠れるボイス。
今聞いても色あせないこの楽曲は、彼の魅力の原点とも言えるだろう。
メロディアスなラインに沿うようなロックなサウンド。相反するよう概念は、時に相乗効果をもたらしてくれる。
今思えば、レジェンドバンドのフロントマンとは、誰もが見た目に関わらず、中性的な本質を持っているのではないかと思う。
彼は原点にして本質的なカリスマ性を携えていたのではないか……どんなジャンルの音楽の中にもポップスがあるように。
彼はダークであり、ポップでもあったのだ。
Ⅱ. 栄光と影
全ての美しいモノの影には、なんらかの痛みがある。
曲調からは暗く切なさが漂ようものの、歌詞からは、それでも前を向いていこうとするメッセージ性を感じる。
曲の背景としては、メンバーの脱退からの再起の曲。バンド名を曲名にした(L’Arc~en~Ciel=虹)奇にも7曲目のシングルとなっているのだが、オヒレで語るより、ただただ、聞いて欲しい。
HYDE『虹は雨が止んで太陽が出た時に、空に咲く花のようなもの。つまり、そういう想いや状況になってこそ伝わるものがあるはずだから』
引用元:『B=PASS』、p.17、シンコー・ミュージック、1997年11月号より
Ⅲ. 静と
バンドを一時脱却し、ソロとして活動を始めた彼が起こしたアクションは、自分の世界だった。
イントロから一瞬で引き込まれてしまうこの世界観は、彼自身が本来音楽に求めていたモノかもしれない。
音とは耳を通して聴くモノであるが、世界観とは五感全てを通して伝わる。
彼を覗くとき、楽曲としての聴覚、映像としての視覚。固唾を飲む味覚。手汗を握るような触覚。呼吸が詰まるような嗅覚。
まるで、芸術のように。
Ⅳ. 動と
その美とは、老いる事をしらない。
「永遠の美の秘訣とは?」と聞けば、「吸血鬼になるコト。」とアンサーされそうだ。
いくらでも変化して突き進む彼は、音楽を通して我々の心を揺り動かしてくる。
ロックの本質、半導体のような彼の偉業ができるのは、ヴァンパイアの変身能力があるからだろうか?
その答えはきっと、美を見る力が、彼には研ぎ澄まされているからだろう。
いつの時代も一級戦のステージに立つ彼は、現在進行形で活動中だ。次は一体、どんな変化を見せてくれるだろう?これからも美しく変わり進んでいくHYDEに胸が躍る。
ご視聴、ありがとう。ここまで読んでくれたキミには、「美を見る力」を持っているハズだから。
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