皆さまごきげんよう。
季節の変わり目で体調を崩しやすい時期ですがお変わりなくお過ごしでしょうか?
本日は私の漫画に対するイメージをガラッと変えてくれた伝説の漫画家・ねこぢる先生について語りたいと思います。
ねこぢる先生の作品との出会い
ねこぢる先生との作品との出会いは本当に偶然でした。
私は子供の頃から漫画が大好きで、内容を一切知らず表紙を見て面白そうだと思った作品を買うというのをよくやっていました。
今でこそインターネットが普及してタイトルを検索すればどんな内容の作品であるか調べるのは簡単ですが、私が学生の頃はネットも一般的ではなく表紙を見て面白そうだと思った作品を一か八かで買ってみて好みに合う作品だったら超ラッキーな時代だったんですね。
これは何度か語らせていただいているのですが私は本当に4コマ漫画が大好きで、大体の4コマ漫画って大判コミックじゃないですか。
ある日書店で「ねこぢるうどん」を見つけて、大判コミックで可愛いねこが表紙に描いてあるってことで「きっと癒し系の動物4コマ漫画だ!」って思って私は迷わずその本をレジに持って行った訳ですよ。
家に帰って本を開いてびっくりしました。
まず4コマじゃない!(これについては当時私が勝手に思い込んでいただけで大判コミック=4コマではないことをこの時に初めて知りました)
そして内容が本当に理解が追いつかない程に純粋で無邪気で残酷。
読んだ当時まだ十代だった私はあまりにショックで再び読み返す勇気がありませんでした。
この時は全く知らなかったんですけど、ねこぢる先生はかの有名なサブカル好き御用達の伝説的雑誌「ガロ」でデビューされた作家さんであり、当時の配偶者は「ガロ」に掲載されている作家さんの中でも群を抜いて過激な作風で知られている山野一先生とずっと後に知り(ねこぢる作品は山野先生とねこぢる先生の共同制作のような形で描かれていたというのも後に知りました)そりゃあ十代で読むのは早かったわとめちゃくちゃ納得しました。
一言でいうと「ねこぢるうどん」を読んだ時、私はこんなに怖い話を描く人がいるなんて!!と打ちのめされたのです。
誤解のないように言いますが、ねこぢる先生の話はホラーではありません。
絵柄もポップでそこまでグロい描写がある訳でもない(正確に言うとグロい感じはあるけどそこすらポップに描いているというか)。
それなのにこんなに“怖い”って思わせるのってめちゃくちゃ凄いのではと私は思ったのです。
ここから数年後、丸尾末広先生の作品を知りガロ系(サブカル系)の作品の魅力に気付く訳ですが、それでもあの読んだ時の衝撃が忘れられず、ねこぢる先生の作品には中々手を出せずにいました。
しかし数年前恐る恐る山野一先生の名作「四丁目の夕日」(三丁目ではない本当に救いのない作品なのでマジで閲覧注意)を読み、衝撃的だったもののそこまで大きくメンタルをやられなかった(何なら読み返せたくらいだった)のでこれはいけるのでは?と今年に入ってやっと再びねこぢる作品に再挑戦したのでした。
という訳でねこぢる大全を買って読みました
ねこぢる作品は作者・ねこぢる先生がお亡くなりになっていることもあってか紙の本は軒並み絶版になっているため手に入れるのは難しいかと思われたのですが、なんと!電子書籍で「ねこぢる大全」というねこぢる作品を詰め合わせたナイスな作品集が販売されています。
書店員としては電子より紙を~なんて言いたくなるところですがこういう時に電子は便利ですな。
上下巻でお値段はそれなりにしますがこんなに沢山の漫画を読めるならかなりお得だなと思えました。
私が狂気を覚えた「ねこぢるうどん」は上巻の最初に収録されていて、読み始めて「そうそうこれよ、これが怖かったんだよ…」なんて考えながら読みましたが初読みから20年以上経っているからかそこまでメンタルにクることもなくするりと読み進めることができました!
ねこの母ちゃんがうどん屋に我が子を「去勢してください」って連れていくというのがデビュー作でもある「ねこぢるうどん」の簡単なあらすじなんですけど、このなんとも形容しがたい邪気がないのに暴力的というかねこぢる先生にしか表現できない世界観を是非色んな方に見ていただきたいです。
「ねこぢる大全」の下巻には「ぢるぢる旅行記」というねこぢる先生がご夫妻で行かれた海外旅行のエッセイが載っていて、これが独特過ぎて読んでいて驚きの連続なのですよ。
インド編とネパール編があるんですがなんていうんだろう…「ここのこんなところが素敵だったから是非皆さんも行ってみてください☆」的な内容じゃないんだよなあ。
中でも印象的だったのはインドでバングラッシーを飲んだというエピソードで(日本だとダメ!絶対!なお話ですね。はい)お国柄で色々違うものだなあと思うと共に「折角現地に行ったんだからなんでも試すべ」的な軽い感じで海外を楽しむお二人が素直に凄いと感じるのですよ。
因みにバングとはガンジャをすり潰したもの(ガンジャが何か分からない人はレッツ検索)ということで、バングラッシーを飲んでキマっている様子も描かれていて、前に「地元最高!」を好きな人はねこぢる作品も好きかも的なことを書いたのはこの辺に由来するものです。
決してマネしたい…とは思わない部分が多い旅行記ですが、自分が経験しないであろうからこそ興味深いエッセイ作品だなと思います。
二十云年前「ねこぢるうどん」を一冊読んだだけでギブアップしたままであればこの作品を読む機会も失われていたと思うので改めてねこぢる作品を読みたい!と思った自分グッジョブという感じですね。
この記事を描くにあたってねこぢる先生のことを色々調べてみたりもしたんですけど、山野先生とねこぢる先生がどういう配分?分担?で漫画を描かれていたかは絶妙でよく分からなくて、でも確実にどちらか片方の先生がいらっしゃらなくてもねこぢる作品は生まれなかったのだろうなということは確実で、人の巡り合いは必ず何か意味があるものなのだなと改めて考えました。
私の記事を読んで一人でも多くの方がねこぢる作品を読んでみたいと思って下されば幸せです。
しかし最初に読んだ時の私のように衝撃を受ける方もいるかも知れませんので、読む時は是非心身ともに健やかな時をオススメいたします。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
またお付き合いいただけますと嬉しいです。
コメント
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