20年前のヴィレヴァンでよく売ってたもの(絶版コミック編)

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今回から何回かに分けて

ヴィレッジヴァンガードが「ヴィレヴァン」と呼ばれるようになるより以前、
SNSもなくネットもまだ一般的に普及しておらず、みんなが簡単に情報に辿り着けずになんとか自力で「おもしろいもの」をを探そうとしていた頃の20年前のヴィレッジヴァンガード。

の、商品の話をしてみようと思います。

1回目は「マンガ」の話。

尚、今はいい時代になりまして、
これら絶版になっている名作も電子書籍として購入して読む事ができたりするので、
もし気になったコミックがあったら電子書籍で購入してみると作家さんにも印税が入ってよろしいのではないかと思います。(もし電子書籍で購入されても1銭もヴィレヴァンの収入にも僕の収入にもなりませんので、安心して他所で購入していただいて結構でございます)

※ちなみに当時必ず平積みされてた松本大洋や岡崎京子の作品なんかは再販や文庫で出版されてますし、AKIRA、コミック版ナウシカなんかの今でも普通にヴィレッジヴァンガードでガンガン売ってるので、そういった作品は除外しています。
あくまで「紙媒体ではもう買えない」もので、当時たくさん積んでた作品のみの紹介をしていきますね。

では。

目次

座敷女(望月峰太郎)

引用元:Amazon(kindle版:試し読みあり) Amazon.com/座敷女

書かれたのは1993年、実はこの頃はまだ特定の人物に異常な付きまとい行為をする犯罪者のことを表すものとしての
「ストーカー」という言葉は存在していませんでした。

それどころか、今でいう所の「ストーカー行為」じたいは存在はしていたものの、その被害にあった当事者とその関係者以外にはそういった事が起きている事もほとんど認知すらされておらず、この頃はまだストーキング行為だけでは犯罪にもできないという状況でした。
(ストーカー規制法が制定されたのはこの作品の7年後の2000年!)

そんな時代背景を考えると当時この

本人には全くわからない理由で、明らかに異常性を持った大女に、執拗に付きまとわれる

というプロットを漫画でやろうと思いついた望月さん、めちゃくちゃすごい。

話としてはもうただシンプルに「気持ち悪い変な女」が、ひたすら度を増しながら主人公にストーキング行為をはたらく。
はっきりした理由はよく分からない。
その行為がどんどんエスカレートしていく過程と、その女の異常性をこれでもかという位にリアルに描いている。
というだけの漫画です。



こんなん、今読んでも普通にめちゃくちゃ怖いわ!!!!


もうね「結局人間が一番怖い」ってよく言うけどほんとこれ読むとそう思う。

「よくわからないひと」が「よくわからない理由」で付きまとってきた挙句、「理不尽極まりない理由でこっちの生命を脅かしてくる」って、実際に誰にでも起きうる話だし、ってか実際にそういう事件って世間でたまに起きちゃってるわけで。

こんな生々しいホラー、そりゃ当時のヴィレヴァンのお客さん好きですよね。
よその本屋さんだと棚差しで1冊あるかないかでしたが、ヴィレヴァンではめちゃくちゃ積んでましたし、めちゃくちゃ売れてました。

もうどんなPOPつけて売ってたかは覚えてないですが、当時の気分でPOPを書くとしたらこんな感じになってたんじゃないかなー、と思います↓





元祖 ロッキン・ラヂヲ(和田ラヂオ)


引用元:Amazon(kindle版:試し読みあり) Amazon.com/元祖ロッキン・ラヂヲ

今も全く変わらないテンションで書き続けておられる和田ラヂヲ先生の「ミュージシャンネタ」が炸裂……いや、和田ラヂヲ氏の漫画に「炸裂」という表現はふさわしくないか。なんて表現したらいいんだろう?「脱力」とかもなんか違う気もするし。

というか、上のリンク内の試し読みの中でも読めるんでちょっと見てきてほしいんですが「GLAY」が出てくるのがあるんですよ。バンドの。HOWEVERとか歌ってるあのGLAY。
漫画の中でメンバー全員がなぜか賃貸アパートの一室で一緒に暮らしてて、表札にカタカナで「グレイ」って書いてあるんです。カタカナで「グレイ」って。もうこれだけで面白い!

こんな発想がなんで出てくるのか謎すぎるよ和田ラヂヲ先生!


まぁ。正直今読むと当時のバンドやアーティストのネタが多いので、今20代の人が読んでも元ネタが分からなくてさっぱり笑えないかもしれませんが、今30後半くらいからの人はツボに入ったらちょっと破壊力とんでもないです。

ちなみに僕はこの中だと特に「洋楽メジャーアーティストネタ」が本当ツボで、今でもついつい定期的に読んでしまいます。
レニー・クラヴィッツのラーメン屋とか、はっきり言って卑怯です!2コマでそれは反則です!!!!(これは多分レニー・クラヴィッツを知らなくても吹く)

これは確か当時、こんな感じのPOPで売ってた気がします↓





カリクラ 華倫変倶楽部 上 (華倫変)

引用元:Amazon(kindle版:試し読みあり) Amazon.com/カリクラ 華倫変倶楽部 上

この「華倫変(「かりんぺん」と読みます)」という作家さん、個人的にはこっちの作品を持ってきたかったのですが、ちょっと、その、試し読みの部分からしていきなり強めの性描写ががっつり描かれてたので自主規制させて頂きました(成人指定ではないのですが…)

で。内容の方なんですが……

なんですかね、コレ?
正直どういうジャンルと言っていいのかわかりません。
だいたいこの作者のマンガ「色々としんどいタイプの女の子」が出てきます。で、その「しんどそう具合」が絶妙にハードかつリアルでして。
ちょっと普通の感覚の人には描けない感じのイタい子の描写だよなぁこれ……という本当唯一無二の
「イタい子描写世界一」
みたいな方だったのですが……。
惜しくも2003年、28歳の若さでお亡くなりになられてしまい、その後彼の新作を読む事はできなくなってしまいました。

が!とある全く別の作品に、突然この華倫変氏の描く「いつも目が泳いでて冷や汗かいてて挙動不審なしんどい女の子」の絵柄もキャラクターのそのまま。なんかよくわからんけど色々不幸な設定というのもまんま。みたいな人物が出てきてすごい驚くことになった2022年。

その作品が

藤本タツキ先生の「チェンソーマン」に登場する

コベニ

です。

おそらくこのコベニのキャラ、色々な意味で若くして亡くなられた華倫変先生へのリスペクトがかなり込められてるんじゃないかなーなんて思ったりもします。というか今30歳の藤本先生が20年前のこんなサブカル拗らせまくった作品を知ってて、しかも自分の作品の主要人物の一人として登場させてるなら本当に漫画愛がすごいのだなぁと。

ちなみに華倫変が好きな人に、チェンソーマンのコベニってキャラがすごい華倫変リスペクトだから読んでみて!とお勧めするのはありだと思いますが、コベニが好きって人に華倫変を勧めるのはちょっと色々と勇気が必要な気もしますがどうなんだろう。

そんなことを思いながらもし今店頭に積むならチェンソーマンの隣に置いて、こんなPOPを付けたいかな。






青い車(よしもとよしとも)

引用元:Amazon Amazon.com/青い車

はいこれ。90年代サブカル拗らせマンガの代表みたいな作品。
どこのヴィレヴァンでも積んでたし、当時ヴィレヴァン以外の書店でほとんど見たことなかったけど、ずっと売ってましたし売れてました。多分当時のヴィレッジヴァンガードのコミック売り場を象徴するマンガの一つだったんじゃないかと思います。90年代にヴィレッジヴァンガードに入ったスタッフはだいたい自分ちの棚にこのマンガがあったんじゃないかと思う。

で、そのころどこも積んでて売れてたけど、そんなに面白かったの?って訊かれたら

「いや、面白いとか面白くないとか、なんかそーゆー感じじゃないんだよね……」

と曖昧に答えるしかないマンガでもあります。はい。

当の作者があとがきで「こんなマンガ描いてちゃだめです」って割とマジトーンで言ってるくらい、全編特に何も起こらないし何もなく話が終わります。主人公もだいたい何もなく生きてます。

なんていうか、

「90年代の空気の缶詰め」

みたいなマンガです。

今の時代にこの作品を初めて読む10代20代の人が何を感じるのか、正直全然わからないです。
お勧めできるかどうかもよく分かりませんが、むしろそんな人たちが今読んでどう感じるのかすごく気になる作品です。
(そもそもこちらは電子書籍化もされてないみたいですが)

確か当時、このマンガには誰が書いたかわからないこんなPOPがついてました。



ドクター秩父山(田中圭一)

引用元:Amazon Amazon.com/ドクター秩父山 上

今やどんな漫画家でも完コピできる「天才イタコ漫画家」としてすっかり有名になってしまっている田中圭一氏の初期の頃の作品です。
いまでこそ手塚治虫タッチで最低な下ネタ漫画を描いて手塚氏の娘さんに公認で怒られたりしてますが、この頃は…




イタコやってないだけでほとんど変わってねぇ
ってかむしろ今よりコンプラが緩かったせいか、くだらない下ネタギャグとブラックなネタは更に度を越してます。ひどい(笑)

ほんと、いまでこそツイッターなんかのSNSで田中圭一氏といえば
「あのイタコ下ネタ芸のすごいひと」
と認知されていますが。このころはまだ漫画家としては駆け出しだったことを考えると

「いきなりこんなお下劣漫画で世に出てきたやばいひと」

という位置だったわけで、当時のヴィレッジヴァンガードとして

「応援せざるを得ないだろ、こんなひどいマンガ(笑)」

みたいな感じがコミック担当者の間にあったかもしれません。

ちなみに個人的にお気に入りのキャラは、何を見ても脳内で性的なものに変換して「はぁはぁ(*´Д`)」しだす性欲カエルの「ケロたん」でした。
ってこのキャラ紹介だけでこの作品がいかにひどい漫画だったか伝わりそうです。はぁはぁ(*´Д`)

そんなワケでこちらも当時こんな感じのPOPが書かれていたと思います。






BOLTS AND NUTS!(田中むねよし)

引用元:Amazon Amazon.com/BOLTS AND NUTS!1

ショッピングモールの中や都市部にある今のヴィレヴァンのイメージしか見たことがない人には想像できないかもしれませんが。20年前くらいのヴィレッジヴァンガードはどこか「男の秘密基地」的な雰囲気もあって、割と「車とバイク」関連のコーナーは欠かせないものだったりしました。
まぁ当時はクルマの情報なんかもネットより書物って感覚が普通だったので、車バイク関連の本は実際よく売れていた訳なんですが、その中でも「エンスー系(※)」って自動車ジャンルとヴィレッジヴァンガードは特に相性が良くて、そんなエンスー系に当時熱狂的に支持されていたマンガがこちらです。

※エンスー:定義はないんですが、他人と同じ車選びはしたくない人の選ぶディープでマニアックな車種を異常に好む人の総称。微妙な外車とかクラシックカーではないレベルの古い車を好む人を指す場合が多い。

実際その頃のヴィレッジヴァンガードのスタッフも車好きが割といて、全社の集まる店長会議になると自慢の変な愛車で研修センターに乗り付ける人も何人もいたりしました。まぁそんな人もだいたいは「維持ができない」とか「結婚して子供ができて奥さんから【エアコンの壊れていない車】が最低条件」とか言われた。とかで今はもうほとんどみんな手放してますが。
(ここらへんのクルマの話もいつか触れてみようと思っています)

そんな「お洒落かっこいい趣味」と「オタク趣味」の境界線上のものとして「クルマ」が存在してた感じのこの漫画が山積みされてて、めちゃくちゃ売れてたというのがいかにも当時の「ヴィレヴァンっぽさ」だったのではないでしょうか。

そんな空気感も込みでこんなPOPを、今なら書いてみたい。





売れてるものが、とことんズレてた

今でこそ、それぞれ個人が勝手に見つけて勝手に盛り上がってたりしたものがSNSで共有されて繋がったりして、もうメジャーとかマイナーとか、サブカルチャーとかメインカルチャーとか区別すること自体意味がなくなりましたし、ある意味「一部のスキモノの中だけで埋もれてるすごい作品」というようなものもすぐに拡まるようになり、特にマンガなんてジャンルだと狭い界隈でしか評価が高くないようなものでも、どこの書店に行ってもちゃんとPOPまでつけられて売られてたりするようになっているので「このマンガ、あそこでにか置いてないんだよね」みたいなことはほとんどなくなりました。

たった20年前は「変なマンガばっかり置いてる」と言われていた側のヴィレヴァンのラインナップの「世間とのズレ」みたいなものも、今となっては「みんなが好きなモノが当たり前にズレてて、誰も気にしない」方向にいい感じに消化されてるんだなぁと思ったりします。「おもしろいもの」がいろんな人に届きやすい、良い世の中になりました。

ただちょっとだけ「あそこにしかない」とか「あそこで見つけた」と思えるようなマンガを激烈プッシュしてた20年前のヴィレッジヴァンガードの要素も、またどこかに出していけたらもっと楽しくなるんじゃないかなー。とか思ってたりもしながら、今回はここまで。

あ、「ここで紹介されてないけど、こんなのも昔よく積まれてたよね」とか「当時ヴィレヴァンにしか置いてなかったコレ買いました」とかあったらコメント欄で教えてくれるとちょっと嬉しいです。



中の人の過去記事(ヴィレヴァン昔話シリーズ、その他)↓

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この記事を書いた人

本当はサブカルより
生き物と兵器の話とクルマと朝ドラがすき。

生き物は脊椎の有るものも無いものもすき。
兵器はそのものより運用面に関する事がすき。
車は70年代の残滓が残るやつがすき。
ヴィレッジは今も本屋だと思ってる。

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