SF作品『ワールドトリガー』を通し、発達障害について考える

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ワートリってなに?

『ワールドトリガー』とはどんな作品かと問われた際に私はこう答えるようにしている。

「地球防衛軍の青少年たちが宇宙人の侵略から世界を守る話。
けれども、肝心の地球防衛よりも仲間同士の戦いの割合が多い」

どういうことかと云えば、組織内にランキングのシステムがあり、小隊を組んだ隊員同士で日々競い合っているのである。

本稿では、そんな若者たちの切磋琢磨を描いたSF群像劇の中から2人の人物に焦点を当てて話してゆきたいと思う。

きくっちーとカゲ

ランキング上位者の中には特異な性質を持った隊員が幾人か存在する。

例えば、菊地原士郎。彼は常人に比べて桁外れに聴力が高い。耳がいいのである。

影浦雅人は、他人の感情を肌で感じ取ることが出来るといった稀な体質を持つ。

お解りいただけるだろうか。彼らそれぞれを擁するチームが、他からの奇襲や狙撃を受けにくいという事は想像に難くないであろう。

しかしそんな彼らも悩み苦しんでいるのである。

一見有利……と、思うじゃん?

彼らの特異体質を当作品では“サイドエフェクト”と呼んでいる。和訳すると“副作用”だ。

こと戦闘に於いては大きなアドバンテージを獲得し得るが、彼らの生活は正に地獄。何故なら、能力には発動スイッチがないから。つまり、オンとオフの切り替えなど出来ないのである。
彼らの鼓膜や肌には、聴きたくもない雑音や知りたくもない感情が四六時中チクチク突き刺さっている。

これが“副作用”と呼ばれてしまう所以であり、作中で彼らのことを羨ましがる隊員は存在しない。仲間たちもまた、これらが都合のいい超能力などではないことを理解しているのである。
菊地原は耳と輪郭線が隠れるほど髪を伸ばし、影浦は平時でもマスクが欠かせない。どちらも刺激を和らげる為の物であるが焼け石に水、気休めでしかない。

ホテルのフロントマンの経歴を持ち人間観察力に長けている作者・葦原大介が、キャラクターデザインにまで落とし込み伝えようとしている何かを私は感じずにはいられない。
本稿をご覧いただき作品に少しでも興味を持っていただけたのなら幸いである。

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