きくお、その鬱苦死き世界に。

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はじめまして、クラゲ島です。
気になったものにはすぐに手を出す、浅く広くな多趣味人間です。
中学生の頃からヴィジュアル系が好きで、薄暗い世界観が心地良く、未だに好んで聴いています。
そのためか、闇も病みも美味しくいただけるようになりました。
ボーカロイド曲にもそんな曲が多くあり……思考がぐるぐると落ちる時は、負の感情を押し出した歌を聴いて、沈め切るのが救いの一つでした。

目次

野生の音楽屋さん、きくお。

私が初めてその楽曲に触れたのは、某刀剣ジャンルのMADからでした。
優しい初音ミクの声、懐かしさを感じる旋律、不穏満載な歌詞……。
私、何見てたんだっけ?この曲聞きに来たんだっけ?
その楽曲の衝撃に打ちのめされて、気付けばつらつらと作曲者について調べていました。
その人は、『きくお』さん。
幼い頃の経験から、「創作して人を喜ばせること以外では生きていけない」と考えるようになったというきくおさん。
初音ミクに歌わせた楽曲では、皆大好き『VOCALOID幻想狂気リンク』のタグをつけられることが多く、【幻想】と【狂気】はそれらに冠する単語としてこれ以上なく相応しく感じます。
数あるきくおさんの曲の中でも、個人的にお気に入りの楽曲を3つ、お話したいと思います。

オルゴールの歯の欠けた一つになりたい──星くずの掃除婦

出オチならぬ、出死にと言うコメントが目に入りますが、まずワンフレーズ目でガッと心を掴まれます。
そして掃除機ではなく掃除婦、切なさが増す気がしませんか?
静かな夜を想像させるメロディーに、透き通るミクの声が乗って、儚い世界を描き出します。
寂し気なミクの後ろ姿はきくおさんによるイラストです。
このミクの目線の先には何があるのでしょう?
心がざわざわと波立つ時に聴きたい、不思議に優しい一曲です。

二人、手をつないでくるくる回って──しかばねの踊り


しかばね音頭で踊りましょう♪
不安定な曲調ですが、どうしても語尾に音符がついて聞こえます。
動画はまるでインフルの時に見る夢のようですが、どことなくメキシコの死者の日を連想させて……『死とは幸せなことである』と言う私たちにはなかなか馴染みの無い思想ですが、けれど何処かで確かに根付いているそんな思想を垣間見ることができるような気もします。
しかし、何を食べたら、「楽しい音頭で心のワレメに腐った腸詰めつめていく」なんて歌詞が思いつくのでしょうか……。
チャチャ、ウッ!!

昇って落ちてまた昇って、その巡りに──てんしょうしょうてんしょう

荘厳な教会とかで流れていそうな宗教音楽のような……宗教とは何か……。
きくおさんの曲は一度聞くと、印象的なメロディー、フレーズがいつまでも頭の中に残ります。
てーんしょう しょうてんしょうっ、てーんしょう そうてんしょうっ……延々の無限ループに陥ってもう駄目です。
不気味なわらべ唄のようなそれでいて崇高な精神を宿しているような。
不安を掻き立てる一枚のイラストで曲が展開していくのもじわじわと削られます。
地獄のような言葉選びで綴られていく、君と僕の物語の行く末はきっと、救いなんて無くて、なのにただただ美しく見えてしまう。
正解がどれなのかは判じられないけれど、いろいろな捉え方が出来て、そこから様々な考察をして、また無数にある人の意見をネットで見られる、と言うのも、きくおさん楽曲の魅力の一つではないでしょうか。

きくおさんと黄菊しーくさん。

きくおさんは、曲、詞、絵の全てを一人で作る時もあれば、絵や動画を他のクリエイターさんと共同で制作することもあります。
黄菊しーくさんも、そのうちの一人です。
絵本のような可愛らしいタッチのイラストから、ぞわぞわと追いつめられるような気持ちを駆り立てる作品まで描く作家さんです。
上記に挙げた、てんしょうしょうてんしょうに使われた絵は、聴覚からも視覚からも不安感を揺さぶられて……そのどちらが欠けても成り立たない世界を作り上げているのです。

きくお、その鬱くしき世界に。

きくおさん。
幼い頃からいじめられっ子だったと言うその人の見てきた世界。
その世界はどんな色で、どんな音で、どんな言葉で構成されていたのでしょう。
現在、創作を生業としているため、ある方面から見たら、まさに夢を叶えた人に思えますが、私には、生きていくために身を削って作品を生み出しているように感じます。
世を儚んで想う時、厭世的な気分になる時……辛く苦しいことの方が多いような世界だから、きくおさんの音楽に触れた私たちも、そこに安心するのでしょうか。
今年に入って、ニコニコ動画に投稿された『夜のうた』。
元々CDに収録されていた一曲ですが、MVをつけて、発表されました。
みんなのうたで放送されていそうな曲と動画で、またお気に入りの一曲が増えてしまいました。
大好きな夜の闇の中で、いつかの自分にもう一度出会えそうな……よければ、この曲も私のお葬式で流してください。
きくおさんの音楽は、例えば、世界のはじっこにいる自分を許すための居場所を提示してくれる灯火のようなものなのだと思います。
受け取り方は人それぞれ……さぁ、あなたも是非、鬱くしいきくおさんの世界に触れてみては?

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