2023年12月8日金曜日、
当店の目玉商品、ランドマーク、魂、
待ち合わせスポットだった【鎧】が、
旅立った。
●光沢のある黒鞘で、刃体には”互の目刃紋”があしらわれています。
●大和守安定の家紋入り掛け台も付属しており、使わない時でも部屋に飾れます。
あれは16年前・・・
実はこの鎧、私が16.7年前に浜松の店の店長だったころ、当時模造刀(大、小、台付きのセットで15000円くらい)がめちゃくちゃ売れていたので、もっと売るためには、鎧もあった方が説得力がぐっと増すと思い、業者さんに探してもらった商品だった。
大人が身に着けられるサイズで、税抜き20万円の織田信長モデルが見つかったとの連絡をもらった時は、一瞬躊躇したが、その当時の血気盛んな私と、イケイケの弊社の勢いも相まって注文してしまった。
しばらくすると、織田家の家紋の入った黒塗りの木箱が届き、中の鎧を組み立てて、店の入り口入ってすぐの侍コーナーの中心に据えてみると、その迫力にすごく満足したが、少し冷静になると、ひょっとしてマネージャーに怒られるかもしれないという一抹の不安が頭をよぎった。
当時いくらイケイケだったヴィレヴァンだったとしても、多分20万の鎧を仕入れた店長はほぼいなかったはずで、
(のちに、ほぼ同じ価格の西洋の鎧を仕入れた店長がいたらしいが)
(あと、200万のR2ーD2を2体仕入れたS水さんもいた)
(あと、ワーリッツァーのジュークボックスも200万くらいするらしいけど)
「お前本当に売れると思っているのか」と言われたら、困ってしまうなあと、、。
こどもの日の飾りにもなります。お部屋や玄関に飾っても絵になりますね。
兜の部分だけを外してバックや帽子に付けてお出かけして、帰ってきたら専用飾り台にお戻しください。
多層構造になっていて、紐も江戸打紐を使いリアルにしています。
マネージャーに怒られた・・・
数日して、マネージャーのK島さんが店に来て、案の定鎧の前で立ち止まった。
私は急いで、「いやー、刀越しにこの鎧が目に入ると、説得力が違いますな~」と揉み手で近づいていくと、「お前は、この刀を何本売れば、鎧分ペイできると思っているんだ」と痛いところを突かれた。
私は、「とにかくめっちゃ売ります!それに鎧のある店っていう話題性も売り上げに貢献すると思います!」と必死に弁明した。納得させるまではいかないものの、しょうがないなという感じで、鎧から視線を離そうかというその瞬間、
K島さんが動いた。すごい速さで。
「20万だぞ!!!」
語気を強めて私をにらみつけるその手には、私が書いたPOPがあった。鎧にセロテープでつけたそのPOPには、「合コンに着ていくとモテます」と書かれていた。
K島さんが怒ったのは、その内容ではなく、20万という高額な商品に遠慮なくセロテープでPOPを貼ったことに対してだった。
怒られたその時の心境を思い起こすと、自分の配慮の足りなさが恥ずかしかった気持ちと50%と、マネージャーがセロテープに気づいてちゃんと叱ったことに対する、責任感というか、覚悟の違いに対する尊敬の気持ち50%がごちゃまぜになって今でも忘れることができない。
イクときは一緒だよ!
それ以来、転勤には必ずついてきた鎧。
「無理して送らなくてもいいよ」と前の店のスタッフに言っても必ず送られてきた鎧。
何店舗か渡り歩いたある日、「アウトレットに異動しなさい」というお告げがあった。
知らぬ間にベテランといわれる年齢になり、同じように歳を重ねた鎧ともついにお別れの時が来たのだ。(古い商品だからといって勝手にアウトレットの店に送れるわけではない)
自分の手で何としても売りたかった商品だけど、こればかりはしょうがない。
と、半ばあきらめていたのだが、なんでかついてきた。
どうしてそうなったか、はっきり覚えてないのだが、なぜか送られてきた。
まだ、チャンスはあると思った。ほっとした気持ち60%と、不思議な気持ち35%と、そのほか5%
が入り混じっていた。
それからまた6.7年が経ち、私の異動の話もちらほら出始めたこの12月、時は来たれり。
店長、あの鎧買いますよ
私が、このアウトレット店舗に着任以来の常連のお客様が、「店長、今度あれ(鎧)買うから」
と、地球グミでも買うかのように軽い感じで話しかけてきた。
「えっ、何でですか?」お客様のお買い物に疑問を呈することなどあってはならないことだが、
聞き返してしまった。
聞けば、アメリカ好きの息子さんが、侍ハンバーガー屋さんを開いたとのことだった。
その店内の目立つところに、鎧をドーンと置きたいそうだ。
息子さんが、アメリカに行っている話は、前々から伺ってはいたが、日本に帰国して、日本のことを図書館で勉強して、バイクで日本一周して、日本のことも大好きになって、両方をあわて侍ハンバーガー屋をオープンしたとのことだった。
こんな奇跡ってあるんですかね?
私は鎧のホコリを隅々まで払い、カサカサのおじさんの体にニベアを塗り込むように、はがれた布の部分を木工用ボンドで修復して、購入日当日を待った。
何日かして、いつものつなぎの服で現れたお客様は、会計を済ますと、
「出陣ですね。」と笑顔で言った。
私も、「ですね。」と笑顔で返した。
こういうことがあるから、ヴィレヴァンの店長って辞められない。
おしまい
追記1/17 先日鎧が、新しい戦場で立派に戦っている姿を確認しました。
お正月仕様でお出迎えしてくれました。第二の人生?に幸多からんことを!
学校や仕事で使っている手帳にと、
いろいろな場面でお使いいただける
ETERNALVILLAGEのBOOKMARK(しおり)です。
かわいいイラストと他にはちょっと無いデザインで、
プレゼントにもオススメの文房具です!
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