竜ケ崎桃子とわたし

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 みなさまこんにちは、こんばんは、おはようございます。広く浅く、狭く深くサブカルチャーのオタクをしているインターネットの片隅の者です。 

  これを読んでいるあなたには、人生に影響を与えた映画、漫画、小説等、作品はありますでしょうか。今日は、わたしの人生を変えた、映画と小説の話をしようと思います。ごゆるりとお付き合いくださいませ。

目次

「わたし根性ねじまがってまーす♡」

 【下妻物語】。私がその映画を始めて観たのは、小学校中学年の頃でした。2004年公開、畑と田んぼに囲まれた茨城のド田舎で、ロリータとヤンキーの女の子ふたりが、正反対の価値観の中で友情を育んでいくコメディ映画です。ロリータ少女の桃子を深田恭子さんが、ヤンキー少女のイチゴを土屋アンナさんが演じています。伝説の暴走族とか、パチモンヴェルサーチを売る父親とか、個性の強いデザイナーとか、 鬼のリーゼントチンピラとか、基本的にはギャグでコメディなのですが、当時小学生のわたしに衝撃を与えたのは、ロリータ少女の桃子でした。自分の住んでいる場所と変わらないだだっ広い田園風景のど真ん中に立つ、フリフリロリータの女の子。映画のポスターの真ん中に書いてある台詞は、

「わたし根性ねじまがってまーす♡」

下妻物語|CINE QUINTO|渋谷ロフト横/シネクイント

https://www.cinequinto.com/shibuya/movie/detail.php?id=301

 なんという、衝撃的なセリフ!そのメインビジュアルに惹かれてDVDのレンタルショップでこの映画を借りたわたしは、視聴することによって、もっと大きな衝撃を受けることとなるのです。

田舎のロリータちゃん

 この主人公桃子、とにかく途轍もなく我儘で奔放で、そして芯が強い。家がいくら貧乏になろうとも、大好きなロリータブランド【BABY THE STARS SHINE BRIGFT】のお洋服を買うためなら手段を択ばず倫理観の若干欠如したお金儲けをするし、誰に何と言われようと可愛くないから学校のお弁当には甘いお菓子以外は入れないし、【Vivienne Westwood】のロッキンホースしか履きたくないからどんな少しの距離でも重たい木靴を履くし、とんでもなく動きにくいはずなのにベイビーのロリータとヴィヴィアンの靴で田舎の田んぼ道を自転車で爆走します。日焼けは絶対したくないし、人生に可愛くないものは要らないし、孤高のプリンセスだから友達もいりません。

 上記のようにとんでもないお姫様気質な女子高生。映画ではとんでもなくお顔のかわいい深キョンが演じているから、何とか成立しているいうなものです。しかし。しかし。小学生の私はめちゃくちゃおばかだったので、映画内ではかわいいながらも一応”ギャグ”として描かれている桃子に憧れてしまったのです。具体的に言えばロリータが着たいとか、甘いものだけを食べて暮らすとか、祖母のことをおばあちゃまと呼ぶとか、そういうことではなく、自分のかわいいを突き通し、誰かから変だと言われてもへこたれず、スンと澄まして好きな靴で貪欲に行きたい所へ行く、という精神の気高さに。あと、あまりにもかわいいお靴、【Vivienne Westwood】のロッキンホース。

 さて、これだけでもやばいのに、それをより強固にしてくれたのは、嶽本野ばら先生の原作小説でした。映画の世界観に虜になった私はすぐに小説版を手に入れます。映画版の桃子はそう明記はされてはいないものの、深キョン演じる絶世の美少女です。けれども原作の桃子はどこにでもいる普通の顔の女の子の設定で、あろうことかブス呼ばわりされていたりするのです。ルッキズムやいじめのお話になってしまうので、ここから先苦手な方はこの文節は飛ばしてくださいませ。わたしはお世辞にもかわいい顔をしていません。しかしながらおしゃれが好きな母親に育てられたおかげで可愛いものが大好きで、またティム・バートン監督の映画が大好きだったので、奇妙でダークなものも全般大好きでした。小学生にしてインドアの極みみたいな性格をしていたため、古今東西意味も分からないのに面白そうな本は片っ端から読み尽くす。いわゆる、変な子でした。たぶん。悲しいかな、かわいくない変な子、はいじめの対象にされてしまうことがしばしばでした。そんな中出会った小説版の桃子。桃子はブスと言われようと、恰好を馬鹿にされようと、友達がいなかろうと、澄ました顔で平然とその高潔な魂ですべてを跳ね返しているのです。周りにブスだ変だといじめられていた私は、桃子に出会ってから少しだけ、世界がだいじょうぶになりました。好き勝手我儘に居ても、その責任を自分でとればよいのです。かわいくなくて変な自分は、みんなが履いている瞬足を履いたっていじめられるのだから、好きにハートのストーンと黒いリボンのついたゴシックなスニーカーで学校へ行けばよい。わたしの人生にも桃子のようにときめくものと、大切な人しか要らないのだと気づいた瞬間でした。(まあそれが完璧に実行できる日は、21さい現在まだ来ていないのですが)

野ばら先生とVivienne Westwood

 こうして正しくねじまがったお姫様根性に憧れたわたしなのですが、その後、年齢を重ねるにつれ嶽本野ばら先生の小説と【Vivienne Westwood】に転がるようにハマってゆきます。野ばら先生の著書はほとんどすべて買い集めました。登場人物のひとりひとりが、余すことなくどこか自分と重なる部分をもっていて、そのなかで自分の好きを突き通し抒情に生きている。わたしの特にお気に入りは、「エミリー」です。そして桃子の履いている唯一無二の靴、【Vivienne Westwood】のロッキンホースバレリーナ。これは一足十万円以上する代物なため、絶対に十代のうちに手に入れるぞと、こまごまとヴィヴィアンのブラウスやスカートを集めつつ、十八歳のとき、念願叶って手に入れました。実際手に入れてわかったこと。この靴で自転車を爆走していた桃子は、どう考えても狂人です。わたしは桃子の精神に誓ってせめて転ばないぞと思いながら、今のところ自転車には乗らないまでも、一度も転ばず履き続けています。はたちを超えた私ですが、大人というのは思ったより楽しくて、昔よりずっと桃子の精神で生きられている気がします。

 長々と書き続け、後半ほとんど下妻物語に話などしていませんでしたが、映画と小説自体、素晴らしく愉快でかわいく、美しいものです。ので、お気軽にネットフリックスやキンドルなんかで観ていただけましたらうれしいです。以上!

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この記事を書いた人

サブカルチャーインターネットオタク。小説、漫画、映画、音楽、アニメ、特撮、お笑い。谷崎潤一郎とエヴァンゲリオンとヴィヴィアンウエストウッドと神聖かまってちゃんとティモシーシャラメとティムバートンが好きです。

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