宝塚記念で推しの仔タイトルホルダーを応援してきた

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競走馬をモデルにした育成スマホゲーム「ウマ娘」が社会現象を巻き起こし、競馬の世界では白毛の馬「ソダシ」が日本競馬史上初めてG1レースに勝つ。

その影響もあってか、競馬を取り扱ったYouTubeチャンネルが人気を博し、ゲーセンではウマ娘だけではなく競走馬のぬいぐるみが目玉商品になるなど、いま日本では空前の競馬ブームが巻き起こっています。

かくいう自分も店舗で取り扱っている「ウマ娘 シンデレラグレイ」を店長の勧めで読んでどハマり。その流れで競走馬の世界に魅了され、日曜日の昼休みはスマホ片手に競馬中継にかじりつく典型的な競馬ファンとして調教されたひとりです。

さて、競馬ファンなら誰もが憧れる夢があります。それはG1レースを現地で観戦すること。

自分には2021年から応援している推しの仔がいまして、その名をタイトルホルダーと言います。

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タイトルホルダー (Titleholder) | 競走馬データ - netkeiba タイトルホルダー (Titleholder)の競走馬データです。競走成績、血統情報、産駒情報などをはじめ、50万頭以上の競走馬、騎手・調教師・馬主・生産者の全データがご覧いただ...

この仔はウマ娘にも登場する女帝エアグルーヴのひ孫にあたり、長距離を得意とする鹿毛(かげ)の牡馬。

日本競馬史上最小馬とされる妹のメロディーレーンと共に今の日本競馬の顔とされる存在です。自分がそんなタイトルホルダーの推しになるきっかけは2021年の菊花賞にありました。

この年のタイトルホルダーは競走馬として黄金期にあたる3歳馬であり、「クラシック三冠」と呼ばれる重要なレースで2勝した名馬ドゥラメンテの仔として期待される存在でした。

その素質はお父さんに劣らず、この仔の世代において主力的な馬とされていたのですが皐月賞ではエフフォーリアに敗れ2着。続く日本ダービーでは6着に敗れるなど、なかなかG1レースを勝ちきれない馬でした。

そんな中、8月にお父さんのドゥラメンテが9歳にして急性胃腸炎でこの世を去ります。

ドゥラメンテの血統を持つ数少ない後継者としてこのまま負ける訳には行かない。そんな中でクラシック三冠最後のレース「菊花賞」を迎えるのですが、なんと他の馬に最初から抜かれることなく逃げ切り勝ちを果たします。

実はこの菊花賞はドゥラメンテが唯一取れなかったレースであり、タイトルホルダーは亡き父に向けて勝ち星を捧げることになったのでした。

このレースをテレビ中継で見ていた自分はドラマのような展開に虜になり、この馬に一目惚れ。

数々の名馬が伝説を作り上げるG1の舞台をこの目で見たい。

そして何よりこの子の走りを生で見たい。

すぐさまJRA会員に申し込んで競馬場まで観戦しに行こうとしたのですが、G1レースのチケットを手にする為にはレースのような厳しい購入競争が待っていたのでした。

さて、今回はそんなG1レースまでの厳しい道のりで悪戦苦闘した話を交えながら、ようやく辿り着いた宝塚記念の現地ルポをお届けしたいと思います。

そろそろ凱旋門賞や秋競馬の時期に入り、テレビでも競馬関連のCMが報道される時期になりました。

これから競馬を見に行こうかなと思っている皆さんやテレビで観戦を考えているみなさん。

それだけでなく、まだ競馬の世界に入ったことのないみなさんにも、G1レースが当たった時にしか味わえない高揚感と競馬観戦の楽しさをお伝えできればと思います!

目次

G1レースのチケットは倍率が厳しい

JRA 日本中央競馬会が開催する重賞レースは全部で138つ。そのうちG1レースは主に1月から6月、10月から12月にかけて年24回開催されます。

こんだけ開催されるなら気軽に観に行けるのでは?そう思っていた時期が私にもありました…

G1レースは主に日曜日や祝日に開催されます。それに伴い様々な催しが競馬場で開催されるため、馬券を買う人のみならず家族づれなど大勢の観客が押し寄せる人気イベントとなっています。

そのため、競馬場に入るには指定席・入場券ともに抽選に当たるか、残った先行販売で購入しないと会場に入ることができません。また、コロナ禍以降は入場規制が実施されていることから、用意されているチケットの数も通常より少なくなりました。

この状況に競馬ブームが重なったため、最近のG1レースはアイドルのライブ並みに観戦するのが困難になっているのです。

実を言うと、このコラムは当初12月に開催される有馬記念のルポを予定していました。しかし指定席・入場券ともに落選

「競馬場って広いしいつか取れるっしょ」などと甘い考えを持ってましたが、その後のフェブラリーステークスや桜花賞、春天皇賞や日本ダービーもことごとく落選。悔しくなって先行抽選に参加できるJRA会員に入会したものの、もちろん落選。

12月から応募してから逃したレースは合計6レース(抽選回数は延べ14回)。約半年にわたり競馬の世界から洗礼を受けたのでした、、、

そうして負け続けたまま訪れたのが上半期を締めくくる晴れ舞台、宝塚記念

ファン投票によってその年のサラブレットたちが選出され、上半期で最も強い馬を決める関西の最高峰レース。このレースの結果によって世界最高のレース「凱旋門賞」への出走を決める馬もいます。

過去にはサイレンススズカやディープインパクトなどの名馬が出走。90年代にはメジロ牧場の競走馬であるライアン、パーマー、マックイーンが3年連続で優勝し、2001年にはメイショウドトウとテイエムオペラオーが鎬を削り合うなど、ウマ娘でもよく舞台とされるレースでもあります。

※ちなみにゴールドシップがゲートで立ち上がって120億円の馬券が紙屑になった伝説のレースでもあります。

このレースが終われば次のG1レースは10月3日のスプリンターズS。アイドルホースたちを拝むには季節が変わるまで待たなくてはなりません…

もちろんこちらも先行・一般抽選ともに落選。立ち見で観戦できる入場券チケットも第3希望まで申し込んだのにも関わらず、全て抽選漏れしてしまいました。

そうして迎えた宝塚記念の前日。ここで奇跡が起こります。

もう観戦はダメだと思い、明日の中継をどこで観ようか考えながらTwitterを見ていた時です。とあるTwitterのフォロワーさんから「入場券の残席販売がちょっとだけ出ている」と情報を聞きます。

実は指定席・入場券はキャンセルが出た席は再販売されることがあります。G1レースとなるとキャンセル分は数席ほど。自分のような絶対にレースを見たい人たちが張り込んでいるので枠が出ても秒速で売り切れてしまいます。しかしながら前日は特に体調不良などが理由でキャンセルする人が多いため、残席販売のチケットが普段より多く販売されることがあるらしいのです。

アニメウマ娘でもターボ師匠はトウカイテイオーの背中を振り向かせようと常に諦めずにレースに挑んでいました。トウカイテイオーが引退しそうになった時にも「ターボやるもん! テイオーの目の前で絶対絶対逃げ切って勝ってやる! 諦めなければやれること見せてやるんだ!」と宣言して、見事にオールカマーを制したあの話は忘れられません。

自分もターボ師匠みたく諦めずに粘れば宝塚記念に行けるはず。すでに時刻は次の日になろうとしていましたが、ダメ元で入場券の予約ページをロードしてみました。すると、、、、、、

これがあきらめないってことだあああああ!

当日前夜にして宝塚記念の入場券を確保することに成功!しかもこのレースはタイトルホルダーも出馬します。推しの仔の走りに憧れてから約半年、満を辞してついにG1の切符を手にすることができました。

それではみなさんお待たせ致しました。

ここからは長い道のりを経てようやく観戦することが出来たG1レース「宝塚記念」、その現地ルポをお届けします!

入場まで

宝塚記念当日のウマ娘公式イラスト。全員このレースに出走経験がある子です。

徳島から阪神競馬場のある兵庫県まで高速バスでおよそ一時間。2枚分予約が出来たので友達と三宮駅で待ち合わせをして、購入できた嬉しさを分かち合いながら阪急電車で仁川駅まで向かいました。

会場に近づくと競馬を観に行くであろう人たちが次々と乗車してきます。さすが宝塚記念、普段は閑静なエリアも通勤ラッシュのようにごった返していました。満員電車に揺られながら30分、無事自分たちは仁川駅に到着。阪神競馬場まで直通のコンコースを通って会場へ向かいます。

急な観戦だったので全く実感が無いまま競馬場へ向かっていたのですが、歴代の名馬たちのレリーフと宝塚記念の横断幕を観た時に、ようやくG1の舞台にいることを実感して泣きそうになりました。

ホントにこれてよかった…

いよいよ入場!

自分たちが着いた頃は13時過ぎ。ちょうど9レーンが始まる前でしたが、パドックは既に宝塚記念の出走馬を観る人たちが集まっていました。

良いロケーションからウマを拝むために場所を確保したいところですが、まずは忘れないうちに馬券を購入。

再推しのタイトルホルダーはもちろん応援馬券で購入。そのほか、エフフォーリア、アリーヴォ、デアリングタクト、ディープポンドの現地馬券も欲しかったので合計で1000円ほど買いました。

馬券はギャンブルに使うものですが、競馬はスポーツの側面も持っていることから、紙馬券は応援しているウマの名前が記入された公式グッズとしても人気があります。

この場に居る時点で勝利したも同然なのでもはや馬券の当たり外れはどうでもよし。自分も好きなウマたちのグッズを買う感覚で購入しました。

パドック

10レーンのパドックを観戦し終えた人が観客席に移動したことで、馬主席から近い左側の前列に入る事に成功。

落選して弾かれた競馬場に立っていることが未だ信じられず、しばらくボーっと宝塚記念の出走馬が書かれた掲示板を眺めていると周りの人が拍手をし始めました。ゲート入り口を観ると、画面越しに見ていたあの名馬たちがゾロゾロとパドックへやってきました。

ついにご対面…!!

オーソリティ

最初にパドックに入ってきたのはこの子。オーソリティはG3のネオタームC、G2レースの弥生賞、青葉賞、アルゼンチン共和国杯を制した四冠馬。クラシック三冠を獲得したオルフェーブルの仔にあたり、母の父は今年の5月にウマ娘で新キャラとして追加されたあのシンボリクリスエス。

煌びやかな艶に盛り上がった筋肉はホント美しすぎました。G1の舞台に出る馬は輝きが違います…!

あとジロジロ見てたら「なにみてんの?」と言わんばかりに目の前で立ち止まってくれました。かわいい。

ディープボンド

略してプボ。2021年の凱旋門賞にも出馬経験がある子です。さまざまなレースで上位入線しているのですが、いつもあと一歩のところでG1に届かず。ウマ娘でいうとチームカノープスのような立ち位置ですね。宝塚記念に期待をかけて応援馬券を購入しました。ジョッキーはウマ娘新シリーズの主人公「テイエムオペラオー」の騎手を全試合に渡って担当した和田竜二さん。

アリーヴォ

言わずと知れた名ジョッキー武豊さんが騎乗するのはこの子。アリーヴォはイタリア語で「私は到着する」という意味だそうです。タイトルホルダーと同じドゥラメンテ産駒であり、主な勝ち鞍はG3の小倉大賞典です。

パドックではずっと関係者の方をキョロキョロしていました。ウマって人の顔を記憶するらしいので、もしかしたら自分の馬主さんを探していたのかも?

そしてタイトルホルダー!

一目惚れしてから約半年、ついに実物に会うことが叶いました。まさかこの子が目の前を歩いていて、自分がこの写真を撮ったなんて今でも信じられません…

有馬記念ではエフフォーリアに敗れましたが、翌年のG2日経賞で調子を取り戻します。自分が落ちた前走のG1春天皇賞では芝3300mという長距離で逃げ切り勝ちを果たしました。画面越しに観ていたアイドルホースを、まさか数メートルの距離で拝めるなんて…

当日の競馬場はかなり暑かったため、タイトルホルダーはパドックのミストで涼んでいました。

さすがG1馬、熱中症対策も完璧です。

メロディーレーン

そんなタイトルホルダーの姉に当たるのがメロディレーン。JRA史上最小馬でありながらも数々の重賞レースで健闘。まだ一度も重賞を制覇したことがないにも関わらずお兄ちゃんを凌ぐほどの人気を集めており、インスタのフォロワーは2.6万人を抱えるほど。文字通りアイドルホースですね。

デアリングタクト

牝馬三冠に当たる「桜花賞・オークス・秋華賞」を史上初めて無敗で制しました。骨折により一年間治療に専念していましたが、今年のヴィクトリアマイルで無事復活。1998年の優駿馬スペシャルウィークことスペちゃんのひ孫にあたり、現役馬として唯一実装されているウマ娘でもあります。

その他の出走馬はこちら!

いよいよ観客席へ

このまま夢のようなパドックを眺めていたいところ…ですが、自分たちは立ち見なのでそろそろレースの場所取りをしなくてはなりません。

心の中で檄を送ったあとに通路を通り観客席へ向かいます。

強い風が吹く出口を通り抜けると、そこには溢れんばかりの群衆がズラリ!

観客席の前には緑色のターフが一面に広がり、中央には他競馬のレースを放送する巨大スクリーン。

阪神競馬場は外回りコースの一周距離が2089mもあり、右回りでは国内最長だそうです。

ふだん店内の狭いスペースで働く自分はあまりの非日常感に圧倒されてしまい、しばらくポカーンと立ち尽くしていました。

本馬場入場

本馬場入場が始まると、ドラクエのテーマでもお馴染みすぎやまこういち氏による「グレート・エクウス・マーチ」がかかります。

BGMと共に馬たちがターフへ入場してきました。ここでアクシデントが

あのオーソリティが足を痛めたことにより出走取り消しとなってしまいました。

あとで報道された情報によると、芝とダートの間で躓いてしまったそうです。

競走馬に取って足の怪我は命取りなので、ここで異変に気づいたルメール騎手は流石です。

いざ出走!

そして各馬がゲートイン。ここでゴネる馬は多く、宝塚記念でもダダをこねて出走に時間がかかったり、入ってもゲート内で立ち上がる馬も居たのですが今回は比較的スムーズに完了。

お馴染みのファンファーレが会場に鳴り響きす。

今回は陸上自衛隊第3音楽隊による生演奏でした。

さて、いよいよゲートイン。

ゲートが開くまでの束の間、会場が静かな空気に包まれます。ガチャっと遠くで音が微かに聞こえ、各馬が一斉にスタートしました。

ここからはレース動画と共にお楽しみください!

馬達が重量感のある足音を鳴らしながらこちら側まで走ってきます。目の前を通過した瞬間、自分たちがいる後ろの場所まで風が吹きました。疾走感があるのですが、同時にゼッケンの番号が読めるほど重心のしっかりした走り。

1000mを超えたところで前回の春天皇賞の勝者タイトルホルダーを抜いたパンサラッサが先頭を走ります。

ここでのタイムは57秒6!宝塚記念で最も早い記録に会場が響めきます。

第四コーナーを上がりいよいよレース後半。

鞭を打たれたディープポンドが先頭へ登っていきます。

最後の直線に差し掛かったその時。ずっと二番手だったタイトルホルダーが加速をして先頭に立ちました。ずっと先陣で走っていたので、本来なら既にバテててしまう時間です。あのパンサラッサも馬群へ沈んで行きました。

しかしタイトルホルダーはそのまま速度を落とす事なく、距離を広げて独走していきます。

ヒシイグアスやデアリングタクトが後を追いますが全く届かず、そのまま逃げ切ってゴールイン!

この時のタイムはなんと2分09秒7というレコード記録。あのサイレンススズカやゴールドシップよりも速い宝塚記念最速馬の誕生を目の当たりに思わず涙がこぼれました。

着順はこちら。写真判定でデアリングタクトが3着に入線!怪我明けでここまで復活できるのは流石三冠馬です。ディープポンドは惜しくも 4着となりました。一番人気のエフフォーリアはハイペースについていけずに6着。有馬記念馬の復活は次走へお預けとなりました。

妹のメロディーレーンちゃんは13着。無事に完走出来てお兄ちゃんもさぞ喜んでる事でしょう。

感想

いかがでしたでしょうか。

競馬の魅力はなんといっても現地でしか体感することのできない空気感にあると思います。お腹の底に響きわたる馬の足音、駆け抜けた後の心地よい風は画面越しでは絶対に味わえません。

今月からいよいよ秋競馬が始まります。「スプリンターズS」から始まり牝馬三冠の「秋華賞」やクラシック三冠の終着点「菊花賞」、そして「エリザベス女王杯」や「ジャパンカップ」など、大きな晴れ舞台が毎週のように催されます。

チケットを取るのは難しいですが、G1レースの舞台では間違いなく歴史に残る瞬間が見られると思います。

ウマ娘やソダシブームのおかげで、いまや競馬はギャンブルをしなくても楽しめるエンターテイメント競技となっています。今回はG1レースについて紹介してきましたが、地方競馬や他の重賞レースも名馬揃いで見どころ満載なので、「G1に行くのはちょっと怖いな」という方はぜひ気軽に見れるレースに足を運んでみてはいかがでしょうか!

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