輪るピングドラムとは
少女革命ウテナなどを手掛ける天才、幾原邦彦さんが監督、脚本の作品で2011年のテレビアニメ放送から独特の世界観、「生存戦略しましょう」の作中のセリフが有名であり、話が進むにつれて主人公たちの生い立ち、登場人物達との因縁、色々な伏線を回収して人間のあらゆる側面を表現している作品。
アニメ公開から10周年を記念して行われたクラウドファンディングでは目標額1000万円のところ1億円の集まりファン待望の新シーンなどを追加した再構成版
【劇場版 輪るピングドラムRE:cycle of the PENGUINDRUM】前編、後編で構成され後編は公開中なので最寄りの映画館でご観覧ください。当時見ていた人、後からハマった人、気になっていたけどまだ見れてない人あらゆる人に是非オススメです。
引用元:輪るピングドラム10周年記念サイト MOVIE
https://penguindrum-movie.jp/movie/
輪るピングドラムとの出会い
2011年この作品の一話を見たとき
「これは一体なんなんだ,,,生存戦略????????? 」
「きっと何者にもなれないお前たちに告げる」
というセリフが、当時大学生で就職活動をしていた自分が漠然と感じていたことを突きつけられたようですごい衝撃だった。小学生の後半くらいからいわゆる【ゆとり教育】で育って争う気持ちや向上心などそこまでなく育ち、大学生になんとかなり、気づいたら今後の人生を決める就職活動という戦いが始まり、個性を無くせと教育されてきたのに自己をアピールして競い合えないやつには将来が無いと言われても何も出来ない自分に疲れ果ていた。そんな時にこの作品と出会い生きるだけでは生き残れないのだと知りました。
人生って生きていれば、お金、家、家族、など世間の人達が普通に享受している幸せが手に入るんだと思ってました。ずっとなんとなく生きてきて第一志望には受からずともそこそこ満足出来る学校に入学して、漫然と日々を過ごして普通に就職活動に失敗して、なんかなんでも出来そうと思いバイトで入って気づいたら社員になり合計で10年くらいこの会社にはお世話になってます。 これも【運命】だなと今だから感じてます。
そんな運命という言葉を強く意識させられた作品がこの輪るピングドラムです。
※ここからはアニメ版のネタバレになりますので許容される方のみご覧ください。考察とほどではないです。
物語の始まりは「運命という言葉は嫌いだ」というセリフから始まる。 かっこよくて人気者の兄【冠葉】、優しくて料理上手な次男【晶馬】、とても可愛くて病気で余命わずかな妹【陽鞠】3兄弟がこの物語の主人公である。 陽毬が病院から一時退院して家族3人でご飯を食べるのだが、この場には両親はいないアニメのご都合主義で海外とかそういうことではなく、両親はテログループの実行犯であり指名手配中で行方不明である。この作品に出てくる登場人物の多くは両親に恵まれていない。そんな登場人物達の暗喩している 一話で印象的なセリフが2つあるので紹介させてください。
子供❶「だからさ、苹果は宇宙そのものなんだよ。手のひらにのる宇宙。この世界とあっちの世界をつなぐものだよ」
子供❷「あっちの世界?」
❶「カンパネルラや他の乗客が向かってる世界だよ」
❷「それと苹果に何の関係があるんだ?」
❶「つまり、苹果は愛による死を自ら選択した者へのご褒美でもあるんだよ」
❷「でも、死んだら全部おしまいじゃん」
❶「おしまいじゃないよ。むしろそこから始まるって賢治は言いたいんだ」
❷「全然わかんねえよ」
❶「愛の話だよ。なんでわかんないかなあ」
引用元: 監督/脚本:幾原邦彦 制作:ブレインズベース
アニメ『輪るピングドラム』1st stationののセリフより引用
冠葉「人はなんのために生まれるのか。
あくせく毎日を過ごすためだけに人が作られてたのだとしたら、それは何かの罰なのか。
それとも皮肉なジョークなのか。
そんなんじゃ遺伝子に組み込まれた生存戦略に忠実な動物の方がよっぽとシンプルで美しいもし
この世界に神様というものがいるなら、そいつにひとつだけ聞きたい
運命というものは本当にあるのか。もし人が運命を無視して遺伝子を無視して
誰かを愛したとしたらそいつは本当に人なのか。
引用元: 監督/脚本:幾原邦彦 制作:ブレインズベース
アニメ『輪るピングドラム』1st stationののセリフより引用
最初の会話は子供のものとは思えない内容にびっくりするが、苹果は宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の中で使われる表記で作中にも姉の桃果の代わりに運命日記を内容を実行しようとする苹果という存在が重要な役割で出てくる。この会話の中で個人的に好きなセリフが
❶「つまり、苹果は愛による死を自ら選択した者へのご褒美でもあるんだよ」
引用元: 監督/脚本:幾原邦彦 制作:ブレインズベース
アニメ『輪るピングドラム』1st stationののセリフより引用
苹果というは人物の苹果ではくて、アダムとイブの原罪の方になるのかなと思っていて、【愛】を選べる権利がなかった人間、つまり幼少期の頃、冠葉と晶馬は檻に入れられており飢餓状態の時に苹果を2人で分けて生き延びたことや、いらない子供や選ばれなかった子供を引き取りその子達を透明にしてしまう機械がある施設【子供ブロイラー】にいた陽毬を晶馬が助けるなどそれぞれの選択が愛でその愛した人のために生を選択できる権利を有したことがご褒美となるのかと思いました。
これまで生きることや愛することがそんな大変なことだと意識したことがなく、自然に両親がいてご飯があり、欲しいものをある程度買ってもらえて、生き方の方向性もなんとなくこうなるのであるととしか考えてなく。選択がご褒美だと考えれる人がいることに衝撃で、生きることに対して負けているなと感じました。
次の冠葉の言葉の中で
もし人が運命を無視して遺伝子を無視して誰かを愛したとしたらそいつは本当に人なのか。
引用元: 監督/脚本:幾原邦彦 制作:ブレインズベース
アニメ『輪るピングドラム』1st stationののセリフより引用
まず生きてきて自分自身が【運命】という言葉を否定的な意味であまり捉えたことがなく、良い意味で使っていました。それは前述のように自分があまり家庭環境や人間関係などでそこまで苦労をして来なかったことに起因しているのかなと思います。しかし作中での冠葉のいう【運命】は全く違う、自分は生きること、愛することが、罪である存在。陽毬のためにならどんなことでもやる人としてのモラルとか無視してもいいという強い意志の現れなのかと思う。それは陽毬を助けるためなら恨んでいるだろう両親が所属していた組織の残党として活動してしまうほど強い愛を持っているから言えたセリフなんだなと思いました。ここまでは全話を見終えた後に1話を振り返って思ったことなのですが、ある意味1話目にあらゆる答えのヒントと結末についての問題提起がされていたのだなと感じました。
運命について
この作品を語るには大変すぎるのでその中でも最も重要だと考える言葉に【運命】があります。
冒頭の晶馬の言葉や冠葉の言葉、そして
運命の至るところから来た存在【プリンセス・オブ・ザ・クリスタル】
運命を切り替えることができる少女【桃果】
他の登場人物も運命に翻弄されて争う人達の話だと思ってます。
中でも特異的な能力の持ち主なのが【桃果】であり、この物語の影の主人公と言っても過言ではない人物です。自らに代償を負う代りに運命を乗り換えることができ、その能力により幼少期の時籠ゆりを救いました。しかし、16年前の高倉両親が幹部とし実行したテロの真の首謀者の【渡瀬 眞悧】を阻止しようとして蠍の業火に焼かれて、相打ちという結果になり、呪いを受け2つの帽子つまり陽毬を生かしてる帽子に封じ込められる。性格も主人公的であり桃果と一緒にいると見える世界が変わると言われるくらいすごい人物。桃果はヒーローといっても過言ではない。荻野目家の両親や苹果や多蕗やゆりなどみんな桃果がいない世界を否定させるほどで、苹果の行動原理も桃果がいた時は仲良かった両親に戻すために自分が桃果になればいいんだという考えから運命日記を狂気的に実行していたのである。この作品においてチート的な能力だが、自己犠牲を追ってでも愛する人を救おうとする姿勢は自分の命を差し出して陽毬を救う冠葉にも通じる点であるなと感じます。
運命について考えていて電車のピクトグラムとか駅を使う理由を特に考えてなかったのですが、電車は行く先が決まっていて決まった駅で止まるという点が運命という強制力と似ているからなのかとなりました。
最終話で苹果の
「運命の果実を一緒に食べようー!」
引用元: 監督/脚本:幾原邦彦 制作:ブレインズベース
アニメ『輪るピングドラム』24st stationののセリフより引用
という呪文で運命の至るところ行きの電車に乗り換え成功して運命がどんなものであったとしても愛が勝つような終わり方でここで1話の少年達のセリフや冠葉のセリフに理由に至るという構成が本当に美しいなと思います。最後には冠葉と晶馬の姿はないのですが陽毬のぬいぐるみから兄達がいた痕跡があり涙が止まならなくなりますね。
輪るピングドラムを見て運命とは元から決まっているものでもあるが、気に入らない場合は強引にでも変えていけるものだと学びました。今、自分がこうしていることや推しと出会ったことや今好きなものや友達との出会いも運命だと思うと幸せな側面もありますが、自分で選択して流れに乗らずに見つけて来たものだと気持ちも強いです。冠葉はどの強い気持ちや桃果のような能力はなくとも気持ちと行動次第で変わる時もあるし変わらないところもあるのが運命だなと都合よく考えたいと思います。変えたいほどのことがあればこの作品を思い出して頑張っていきたいと思います。
最後に
ピングドラムという作品の好きなところはストーリーもすごいけど星野リリィ先生の絵もすごい可愛いし、やくしまるえつこさんの歌も楽しめる要素がたくさんあり全然語り尽くせないですけど、最後に一つだけ言いたいのが渡瀬 眞悧さんのCV小泉豊さんの声が合いすぎてかっこよすぎてあのピンクのロン毛のビジュアルから色気のある男の声がヤバイです。なりたい憧れでした当時。
運命を乗り換えられる力を持っていたら、推してるグループの解散を続ける分岐点に変えたいです…
昔見たままの人も改めて見てるのはいかがでしょうか。このとりとめのない文章を最後まで読んで頂きありがとうございました。
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