世界一強いオタクって誰だろう?
ポケモンカードを初代から集めている人。推しの公演全てに出向いている人。
「強いオタク」の基準はいろいろあると思いますが、自分には「このオタクには絶対敵わねえな」と思う最強のオタクがいます。それがこの人。
LIL UZI VERTです。
読み方は「リル・ウージー・ヴァート」。
彼はアメリカのヒップホップシーンで熱狂的に支持されているアーティスト。
ヒロアカの能力者に出てきそうな見た目と浮遊感のある独特な見た目でグラミー賞やMTVアワードなど、数多くの賞を総ナメ。
最近ではディスコのようなダンスが特徴的な新曲”JUST WANNA ROCK”がtiktokなどで流行り、日本でもじわじわとLIL UZI VERTの名が浸透しつつあります。
アメリカの音楽界でもトップレベルの位置に君臨する彼。
「見た目も厳ついし全然オタクじゃないじゃん!」と思った人もいるかもしれませんが、彼はアメリカ屈指のオタクアーティストなのです。
いきなりアカウントをアニメアイコンにしたり、MVでは日本の学生になりきって超能力を使ったり、極め付けはとあるアニメキャラに憧れて額にダイヤモンドを埋め込んだり、、、
最新アルバム”Pink Tape”では日本のアニメ会社「D’ART Shtajio」と共同で予告PVを作成。UZIさんの作画がヌルヌル動いています。
また、アルバムを締めくくる”The end”ではアイドルとメタルを融合させた日本のグループ”BABYMETAL”を客演に招き、国内外で話題になりました。
こんな感じでとにかく日本のサブカルチャーに対する憧れが半端ないです。
というわけで今回はアメリカが誇る最強のオタク、LIL UZI VERTについて紹介していきます。
そもそもこの人は誰?
LIL UZI VERT(以下UZIさんと呼びます)はヒップホップを中心に活動するアメリカの歌手です。
2010年ごろから音楽活動を開始し、無料音楽共有サイトsound cloudなどに曲を投稿。
インターネットを中心に徐々に注目を集めていきます。
アトランタのラッパーLil Yatchy(リルヨッティ)やズッ友として知られるPlayboi carti(プレイボイカーティ)と共に歌詞の中身に拘らない、音感や雰囲気のカッコ良さに重きを置いた「マンブルラップ」と言うジャンルの立役者となり、瞬く間にスターダムへと駆け上がっていきます。
2014年には大手レーベルアトランティックレコード(日本人だったらX JAPANとか居る)と契約。デビュー曲のmoney longerは200万枚も売上げ、ダブルプラチナディスクとして認定されます。
さらに2018年のグラミー賞では新人賞にノミネートされる快挙を成し遂げます。
こんな感じで彗星の如く現れたUZIさんはメキメキと頭角を表していきました。
その後も彼女との別れを歌ったXO TOUR Llif3やアトランタのトリオグループmigosとのBad and Boujeeなどのヒット作をリリース。
さらにはジャスティンビーバーのアルバムに客演として参加したりワイルドスピードのサントラを作るなど、ポップミュージックの場において実力を発揮します。
確かな才能を持つUZIさんですが、何より魅力的なのがキャラクター性。
自身を「ラッパーじゃなくてロックスター」と称する彼はマリリンマンソンを敬愛し、髪の毛をレッドやパープルに染め上げ、逆十字のネックレスとパンクファッションを着るパンクスタイルを貫いています。
見た目だけでなく素行もパンクロッカー。ライブでは5mの高さから観客席にダイブしたりと破天荒なパフォーマンスが目立ちます。
この前のライブなんかバケツ一杯のスライムを頭から被ってました。お風呂大変だっただろうな、、、
本人が言う通りまさしく「ロックスター」なUZIさん。ここだけ見るとかなり厳ついのですが、実は意外とギャップがあったりします。
Little Bitesと言うカップケーキを1日に2箱も食べる超甘党だったり、「学費払って!」と呼び止めたファンに二つ返事で了承して本当に払ってあげたりするという人の良さもあって、インターネットを中心にアイドルのように支持されています。
こんな感じで可愛い振る舞いをするので日本のファンからはギャルとして認識されていたりします。
ゴシップ面でも音楽面でも絶大な人気を集めた彼は弱冠20歳にして大金を手にします。その額なんと約10億円。
我々ヴィレヴァン全社員が束になってもかないません。
その後も総資産の記録を更新し続け、現在ではなんと38億円ほどの資産を持っているようです。
もうヴィレヴァン会社まるごと買えちゃうよ、、、、、、
浮遊感のあるラップと奇抜な個性でヒップホップの頂点へと君臨したリルウージーヴァート。
さて、ヒップホップの世界では資金力や実力をアピールするために宝石や高級服を身につけるFLEXと呼ばれる文化があります。
有り余る大金を誇示するために、彼はアニメや漫画に費やしたのでした。
エピソード1:高級車を痛車に大改造
お金持ちのラッパーが高級車を乗り回す姿はヒップホップを知らない人でも簡単に想像できる光景だと思います。
例に及ばずUZIさんも高級車のオーナーなのですが、なんとBMWやランボルギーニといった高級スポーツカーを痛車に改造しちゃいます。
こちらはフロントにソードアートオンラインのシノン、両ドアにけいおん!のあずにゃんをプリントしたAudiR8。
大体2700万円近くするスポーツカーを可愛い美少女のイラストで埋め尽くした高級痛車に改造しています。
ちゃんと普段使いしているようで、エンジンを鳴らしながらウキウキでドライブする様子がファンによって撮影されています。
こちらはガルパン仕様のUSSV Rhino GX。オフロードカーとして知られる名車を戦車アニメの痛車に改造しています。
カーキ色の厚いボディに大洗女子学園のロゴとキャラクターをプリント。ある意味ミリタリー加工です。
ちなみに内部にはPS4が内蔵されているそうです。
彼の痛車コレクションはまだまだあります。
言わずしれた高級車Lamborghini Urusには機動戦士パトレイバー、Bentley Bentaygaに境界の彼方、2台目のAudi R8には君に届けのイラストをプリント。
さらには全戦全勝で知られるボクシング選手フロイトメイウェザーから買い取ったBugatti Veyronをカウボーイビパップの痛車に加工するなど、車だけじゃなく買う相手も派手なUZIさん。
というかアニメのチョイスがマニアックすぎる。
億単位の痛車を持っていることから海外の痛車界隈では激震が走ったそうです。
日本でも痛車オーナーの間で密かに話題となったとのこと。
エピソード2:アニメキャラに触発されて26億円のダイヤを額に埋め込む
ヴィレヴァンに来るお客さんには、好きなキャラに憧れてイメージカラーの商品を買ったりする方が結構いらっしゃいます。
ネイルを推しカラーにしたり、最近だとキャラをイメージした香水を作るサービスもあるそうです。
個人的に推しのエネルギーを自分に取り入れるって発想はとても魅力的だと思っています。
UZIさんの場合は好きなアニメキャラに影響されて26億円の費用をかけて額の真ん中にピンクダイヤモンドを埋め込む整形手術を行いました。
気合の入れ方が違いすぎる、、、、、
本人曰く適切に処理しなければ命の危険もある高リスクな手術だったそうです。
ダイヤお披露目後のインスタのアイコンがNARUTOの綱手になっていたことから、「日本のアニメに影響された?」と憶測されていましたが、実際はスティーブンユニヴァースと言うアメリカの宝石擬人化アニメに触発されたのではないかと考えられています。
なお、埋め込んだダイヤモンドはライブ中ファンに引きちぎられたそうです。「取られたダイヤは持っているから大丈夫!」とのこと。そういう問題じゃないよ。
ちなみに現在はダイヤモンドがあったところにはピアスが入っています。
エピソード3:アニメTシャツを着こなす
最近なんかヴィンテージアニメTシャツが流行っているらしいです。
パーフェクトブルーとかAKIRAとか、80〜90年代のTシャツが古着屋さんとかでも大人気とのこと。
一方UZIさんはブームが来る7年前くらいからアニメTシャツを、それも結構マニアックな作品のやつを着こなしてライブに出たりしました。
こちらは千と千尋の神隠しのTシャツ。ジブリ公式アイテムらしいです。
別のライブではアニメ「フェアリーテイル」のフルグラフィックTシャツを着ていたり、アニメTシャツを着こなすUZIさん。着こなしているのはファッションだけではありません。
服を脱げばタトゥーだらけのUZIさんですが、彼の右脇腹にはデレマスのキャラ「本田未央」が掘られており、ストーリーに刺青を載せた際には「HENTAIタトゥー」と呼ばれて話題になっていました。
ほかにもTwitterのアイコン、アルバムジャケットも自身をアニメテイストで描いたイラストや韓国の絵師のイラストをサンプリングしたものを使用。
最近ではリゼロのレムちゃんの抱き枕と共に未公開楽曲を流しながらワインを飲む様子を投稿していました。
もはやファッションの枠を超えてライフスタイルでもオタクを貫くUZIさん。
ドラゴンボールやナルトに影響されたアーティストは多いですが、UZIさんのチョイスはどれもこれもマニアックなものばかりで脱帽です。
エピソード4:アニメをサンプリングした曲を作る
サンプリング(英: sampling)は、過去の曲や音源の一部を流用し、再構築して新たな楽曲を製作する音楽製作法・表現技法のこと。または楽器音や自然の音をサンプラーで録音し、楽曲の中に組み入れることである。
wikipediaより https://ja.wikipedia.org/wiki/サンプリング
すなわちサンプリングとは既成の曲をアレンジして自分の曲に使うことを言います。
ヒップホップミュージックでは頻繁に用いられており、邦楽ではセキトオシゲオの「The world II」などがよくサンプリングされています。
それではこちらの曲をご覧ください↓
お分かり頂けたでしょうか?
そう、こちらの曲は2015年に放送されたアニメ「デスパレード」のサントラです。
Throw up gang signs,Naruto/Put metal in my nose like Pain
ギャングサイン、ナルト、ペインのように鼻に金属を入れるんだ
Geniusより https://genius.com/Lil-uzi-vert-new-patek-lyrics
と、歌詞にもアニメのタイトルが引用。
NARUTOの登場キャラクターペイン六道の名前が歌詞に登場します。
他にもアニメ大好きのUZIさんの楽曲にはアニメや漫画がテーマになった曲が数多くみられます。
2020年には同じくNARUTOのキャラクター、うちはサスケをモチーフにした「Sasuke」を公開。
This is not no Naruto, but I chop that like Sasuke
「ナルトじゃない。けど俺はサスケみたく刻むんだ」
Geniusより https://genius.com/Lil-uzi-vert-sasuke-lyrics
ガールフレンド、ジュエリー、車、武器などヒップホップで登場するおきまりのトピックに触れながら、サビの部分では自身をうちはサスケに見立ててラップを刻んでいます。
2020年に公開した”You gotta move”では
Yu-Gi-Oh, Yu-Gi-Oh, you wanna duel? Blue-Eyes White Dragon, no, I will not lose
「遊戯王、遊戯王、デュエルしたいか?ブルーアイズホワイトドラゴン、俺は負けない」
Geniusより https://genius.com/Lil-uzi-vert-pop-lyrics
と遊戯王のカード名まで登場します。そういや海外でブルーアイズホワイトドラゴンのラグマット売ってたの、あれ欲しかったなあ、、、
ちなみに2019年に公開され、日本でもロードショーされた映画「名探偵ピカチュウ」のEDソングでは日本人アーティストHONEST BOYZ®️の曲”Electricity”に客演として参加しています。
オタク文化はヒップホップの救い
ここまでUZIさんのいろんなオタクエピソードを紹介してきました。どれもこれもロックスターらしいスケールの大きいエピソードばかり。
さて、ヒップホップの世界にはUZIさんだけでなく日本のオタク文化に触れて感性を育てたアーティストが多くいます。
UZIさんと同系統のJuice wrldやTrippie reddはアニメ風のイラストを用いたジャケットを起用し、Megan thee stallionは賭ケグルイの蛇喰夢子のコスプレをするほどのオタクぶり。
言わずと知れたお騒がせアーティストカニエウェスト(現Ye)も熱狂的なAKIRA信者で来日時に渋谷の工事現場に貼っていたAKIRAのラッピングを観に行くほど。
さらには大御所Wu-Tang ClanのRZAもドラゴンボールについてリリックを書き、アウトキャストのBig boiは初音ミクを用いて曲を作るなど、日本のオタクカルチャーはヒップホップアーティストを老若男女問わず魅了しています。
厳ついヒップホップの人々をここまで魅了するアニメ。一体なぜここまで蜜月関係に発展したのでしょうか。
これは私論ですが「オタク文化が殺伐とした世界で生きるヒップホップアーティストにとっての居場所になっているんじゃないか?」と考えています。
オタクになる人の多くは学校などのコミュニティで居場所を見いだせず、一人でも楽しめるアニメや漫画の世界に居場所を見出している人が多いような気がします。
実社会で生きづらい人たちのための居場所がオタク文化。そんな世界が、テレビやインターネットを介して、黒人のマイノリティ社会に生きるアーティストにとっての居場所になったんじゃないでしょうか。
「ヒップホップアーティストにアニメや漫画が好きな人が多いのはなんで?」というトピックに対して面白い考察をまとめた文章があります。ここまで記事を読んでくれた人は絶対に興味があると思いますのでぜひ読んでみてください↓
HipHopとオタクをめぐる覚え書き-其の1:黒人文化とアニメ編-
この記事内でredditのユーザーがアニメとヒップホップ文化の関係性について語った見解が紹介されていました。
アニメはヒップホップとの関係だけでなく、もっと深い関係があります。ブラック・ユースとの大きな関係です。私はたくさんのアニメを見ていましたし、今でも見ています。当時、私や他の多くの黒人の子供たちにとって、アニメは現実からの逃避であり、ほとんどのアニメの物語は追放されたヒーローの物語でした。父親がおらず、母親もいない黒人の子供として、私はある意味で早く成長しなければなりませんでした。アニメのおかげで、たとえ悪い手でも良い手でも、忍耐力が自分を際立たせることを学びました。DBZやNARUTOがファンの間で人気があるのは、彼らが心優しい亡命者でありながら、自分に陰口を叩いた人々を助けるために戻ってくるという、非常に親しみやすいキャラクターだからだと思います。
HipHopとオタクをめぐる覚え書き-其の1:黒人文化とアニメ編-より https://note.com/fugakura/n/n0fa48f96f64a
すなわち、アニメ・漫画といったオタクカルチャーが黒人社会で居場所を見つけられなくなったヒップホップアーティストたちにとっての心の拠り所になったのではないでしょうか。
日本のオタク文化が海を越えて違う境遇の人々の居場所になっている。オタクは世界を変えるって案外本当なのかもしれせんね。
おわりに
ここまでLIL UZI VERTのオタクエピソードとヒップホップとオタク文化の関係についてご紹介しました。いかがでしたでしょうか。
ここ数年アルバムの存在をほのめかしてはリリースせず、、、と言う流れを繰り返しているのですが(ヒップホップあるある)ですが、実はこの記事を書いている時にいきなりリリースされました。タイミングが良すぎる。
最新作PINK TAPEはヒップホップシーンに身を置きながら、メタル、格闘技、ジャージークラブ、アイドル、レイヴミュージックなどなど、UZIさんの好きなものを縦横無尽に詰め込んだ作品となっています。
ごちゃごちゃしているけど統一感があって楽しい、ヴィレヴァンを音楽にしたようなアルバムでした。ヴィレヴァンみたいな世界観が好きな人なら間違いなく中毒になること間違いなしです。
以上、LIL UZI VERTのオタクエピソードをまとめた紹介記事でした。
LIL UZI VERTさん、ヴィレヴァンへのご来店お待ちしております。
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