お文具さんと私

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出会い

それはある日

いつものように商品の詰まったダンボールが私の働いているお店に運ばれてき、所定の位置に置いてある道具箱からカッターを取り出し荷置きへ向かう。

積み上げられた箱を淡々と下ろして一つ一つにカッターを入れていく。

すると暗闇の中から名状し難い表情をした白、黒、黄、藍色、橙色、茶色のそれたちが私を見つめていたのだった。

その表情は不思議と、見れば見るほど吸い込まれそうになっていた。

私個人の感覚にはなってしまうが愛着が湧くというより、あの眼差しからは朦朧や茫然という言葉が浮かび、強いて言えるような趣味も好きなものも無く呆然と生活している私にすると何か親近感のようなものが沸々と込み上げてきている。

暫く立ち止まっていると「その商品知ってるんだったら、コーナー作っといてねぇ」他の商品に値付けをしながら店長はそそくさと値付けし終えた商品を籠へ入れてその簿を離れた。私も業務に取り掛かる。

そうと決まれば早速コーナーを作る場所を考えた。

店内を見渡すと混沌としているが目を凝らしてみるとやはり秩序が保たれている。

さぁどこに出そうかしら。新商品なので店頭周辺がいいなぁ。店内を一周し終えて、「よし、ここにしよう。」

私は結束と網とハサミとお文具さんをレジ籠にそれぞれ分けていれて売り場づくりに励んだ。

時が流れて、あっというまに閉店時間。一日かかってしまったが何とか完成できた。

「お疲れ様でした~」退館して重い扉を開けると同時に押し寄せてくる外の空気をめいいっぱい感じれるあの瞬間が好きだ。

今日はよく動いたので心地が良い。

夜風を浴びながらペダルを漕ぐ足取りは軽く、家路についた時間は少し早かった。

「ただいま。」誰もいない真っ暗な部屋が広がっている。

テレビもラジオも無い我が家では風呂に入り食う寝るというようなテンプレートを謳歌しているので私は日々に嫌気が指していた。まるで独房だ。

私は淡々と「食う」「風呂」を済ませた。

ほぼ毎日食べているレトルトカレーのように味気無い生活だ。

私が向かう先とは一体何処何だろう。

「あぁ、また始まった。」

いつも通り眠れなくなってしまった。

その時間は悪魔に取り憑かれたようで動機が激しくなり変に目が覚醒してしまうと同時に負の感情が押し寄せてくる。

それは漠然としたものだが形容し難い感覚だ。

そんなときあの白い生き物の表情が脳裏によぎった。

それはまるで悪魔に支配され暗黒雲に覆われた世界に一筋の眩しい光が現われ、瞬く間に天使が舞い降りてきたように私の心情は一変した。

不思議に思った私は寝床で同じような顔をしてみるが何も浮かばないので彼等について調べることにしてみた。

お文具さん

白い彼を筆頭にYoutubeやTwitterといったソーシャルネットワークサービスやメディアで活躍している集団らしい。

コンセプトは「優しさ」や「癒し」といった穏やかなものだそうだ。

私は少し作者と似ている部分があるのかなとこの時思った。

それは穏やかな生活を心掛けいるという部分だった。

暫く私はお文具さんについて調べている時間、ネットサーフィンを楽しんだ。

そういえば、ソーシャルネットワークサービスやメディアといったものをあまり見なくなったなぁ。

スマホの画面を見ていると時間に呑まれてしまう気がする。

これもまた個人の思いではあるが小さな端末を開くだけで膨大な情報が波のように押し寄せてきてその一つ一つの言葉や思いを手際よく黙認して処理されていくような感覚は殺伐としているものだと感じてしまうので私からすれば穏やかではないのである。

だが人には人の「穏やか」があるので個人個人がそれを心掛けていけば良いと思う。

各々の「穏やか」のチョイスがそれぞれの「優しさ」に繋がるのだから___________

そんなこと考えていると私は一つの事実に気付く。

私は知らず知らずの間に人と関わることを最小限に済まそうとしている。

それは「穏やか」を建前に自分自身の身を自らに「独房」へ投じていた。

私はある日から人の優しさですら眩しいものに感じてしまって極力関わらないように生活してきた。

それは触れてみたいけれど触れる事によって吠えられたらどうしようと犬小屋の前で立ちすくんでいた幼児期の事を思い出す。結局触れなかったんだった。

視界がぼやけてきた。私が求めていたのは「穏やか」なんかじゃない、「孤独」だった。

深い深い海へ誘われる。

私の手元はある特定の場所へ漂流していた。

穏やかな方へ

お文具さんはTwitterを使っています: 「心がけるということ https://t.co/gFX8mq3H1o」 / Twitter

「意外と忘れがちな心の消毒」この言葉が視界に入ってきた。

一つずつスクロールしていく、あなたたちの世界も色々戸惑う事があるのね、奇遇ね私のところもだよ、なんてついつい共感してしまった。

その内容は二個しか置いてないプリンを名も無き者さんが買おうとしている所へ同じ商品を買おうとしていたお文具さんがやってきて譲り合うというものだった。

自分自身に置き換えてみる、一人暮らしを始めて間もなく世界は混沌とし始めた。今までの常識じゃ考えられないくらい生活様式が一変し戸惑いながらも生活している。

必要最低限の会話、マスク着用、公共の場では神経質にならざるを得ない場面が増えた。

私は知らず知らずのうちに「心の消毒」を忘れていたんだった。

マスクをしていなかった頃、行きつけの喫茶店に行けば可愛いらしいお婆ちゃんの笑顔とお会計の際にはお釣りをこぼさないようにと、いつも手を握りながら渡してくれた。

例えどんな生活様式に変わろうとも人の優しさはマスク越しから滲む。

未だに先の見えない状況はすべての人にあてはまるのだから______

だからこそ、穏やかな方へ。

あとがき

最後まで閲覧して下さった方がいらっしゃいましたら、深くお詫び申し上げます。

こういうの初めてなので上手く書けてるかわからないのですが、お文具さんの事について調べながらかけた時間はとっても楽しかったです。

作者に届きますように。

それでは、失礼いたします。

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