小学生の夏休み、ふと「色違いのカイオーガ捕まえようかな」と思ったことがあった。
当時は映画などに出向いてももらえることはなく、今と比べてもはるかにお目にかかる機会の少なかった色違いポケモン。小学校の友達も、当然あまり持っている人はおらず、草むらに入ればうんざりするほど出くわすことになるようなよくいるポケモンの色違いですら隣の隣のクラスの人がもっているのを聞いたことがある…というレベルだった。
そんな中で本当にふと自分で狙って色違いのカイオーガをだしてみたくなったのだ。
なんとなくの思いとポケットモンスターハートゴールドを手に、色違いを狙う夏休みが始まった。
伝説のポケモンの色違いを狙う作業はあまりに単調であった。
ゲームを起動する
↓
マップに鎮座するカイオーガに話しかける
↓
戦闘が始まるとともに色違いかどうか確認する
↓
通常の色だったら最初からやり直す
これをひたすらに繰り返すのみだ。
色違いのポケモンに出くわす確率は1/8192と言われている。8192回、上の工程を繰り返してやっと出るか出ないかという話なのだ。
当然数時間、一日二日でお目にかかれるような代物ではない。一回戦闘を終えるのに1分としても、一日で試行できる回数は小学生の俺にはいいとこ480回程度でしかない。
途方もない作業であった。
夏休みのうちの2週間か3週間ほど、俺は作業だけをして毎日8時間かそこらを過ごしていた。
来る日も来る日もおれは部屋に寝転がってDSを両手に抱え、ただその画面だけを見つめ続けていた。
今考えると正気の沙汰ではない行動であった。
断固とした思いもなく、熱烈な憧れもなくなんとなくの思いだけで、自分の一日をはたから見れば何の面白味もない作業だけに費やしているガキ。逆にどんな顔して一日中家で作業してたのか気になってくるな。
当時の俺の心境はというと、たいして苦痛に感じていなかった。もちろん心の底からそれを楽しんでいたわけではないが、嫌気がさすこともなかった。カイオーガの鳴き声を聞き続けて気が付いたら一日が終わっていたし、次の日にも何の疑問も抱かずにDSをパカッっと開いていたのだ。
要するに、自分は色違い厳選に熱中していた。
面白くない作業だろうが、なんとなくだろうが、自分が意味を見つけ出した行動には時間をひたすらに費やすことのできる力があったのだ。当時の俺には。
10年以上たった今、当時と同じことをやれと言われても、自発的にやろうと思ったとしても、まず無理だと思う。やるにしてもyoutubeなどのなんらかの片手間に見ることのできる娯楽や別の作業付きでないと無理だ。
この集中力どこにいっちゃんたんだろうなあ。
たぶん大人になると「やるべき事」みたいなのが増えていくせいで、なんかしら作業してるときに「これは時間の使い方として有効かどうか」みたいなのを脳みその上っ面のほうで勝手に意識し続けちゃうんだろうな。そのせいで自分にとって心地よくない物事はたとえ意味がありそうでもたいして集中できなくなっちゃうんだろうなあ。
「こんなことやるくらいならもっと有用なことするか、スマホ見てくつろぐほうがよくねーか????」みたいなことをふと思う機会は増えた気がする。
ちなみに色違いカイオーガを拝むことはなかった。
ある日突然「やっぱもういいかな」と、始めた時同様なんとなくの心持でふとやめることになったのを覚えている。
なんでこんな話したの?
この世の中には大人になっても当時の俺と同じように色違いを粘り続ける熱量のある男がいるということをお伝えするためです。
切れ痔の頻尿実況者ことTAKさん。過去に色違いポケモンの厳選し過ぎで痔になったらしい。
ざっくり説明すると、↑のシリーズでは
「色違いポケモンを捕まえない限り新しい街まで移動できない」
という縛りを設けてポケモンットスタープラチナの殿堂入りを目指す企画だ。
ちなみにプラチナではエンディングまでに14個の街を訪れることになるため、捕まえることになる色違いポケモンの数は最低でも14匹となる。。。。少年の俺でも泣きわめいてすぐに折れてしまいそうな数だ。実際、過酷な厳選作業ゆえに様々な困難に出くわす彼の姿を動画では拝むことになる。
このシリーズは現在も更新中のものなので、きっといまも彼は自転車に乗って色違いポケモンを狙っていることだろう。「実は裏技とか使ってるんじゃないの?」と疑い深い人々も安心。プラチナのシリーズでは色違い厳選作業をすべてアーカイブで公開しているのでぜひすべてくまなく目を通してみてほしい。
彼は驚くべきことに過去にもポケットモンスターハートゴールドで同様の縛りを設けて無事エンディングまでたどり着いているので、完結したシリーズが見たい方は彼のyoutubeチャンネルやニコニコ動画アカウントから覗いてみてはいかがでしょうか。
ただ、彼の動画に関しては、リアルタイムで追っかけることでこそ「TAKさんがいかに苦闘して色違いを見つけているか」ということが実感できるような気もするので、今のプラチナシリーズが完結する前に見始めたほうがいいぞ!
コメント
【コメント機能をご利用いただくにあたっての注意事項】
1. ご投稿いただいた記事やコメントは、掲載までに少しお時間をいただく場合がございます。 2. 投稿内容等が不適切と当サイトのスタッフが判断した場合は事前の通知なしにコメントを削除する場合があります。全てのコメント投稿が掲載されるわけではありませんので、予めご了承ください。 3. 投稿内容の公開・非公開に関するお問い合わせにはお答えできません。 4. 絵文字は機種によって正常に表示されないものが多いため、ご使用はお控えください。 5. 記事内容に明らかに関係のない内容の書き込みはご遠慮ください。 6. 個人のプライバシーに関わる書き込み、公序良俗に反する内容等、当サイトのスタッフが不適切であると判断した場合は事前の通知なしにコメントを削除致します。 7. 名指し等、個人間のやり取りは書き込まないでください。 8. より楽しいコンテンツになる様に是非ご協力をお願いいたします。