初めまして、ボカロ好きのエヌと申します。
この世界には、「自家用路線バス」という大いなる矛盾を含んだ乗り物があるのをご存じでしょうか。
路線バスなんぞ大抵はバスの営業所が住処な訳ですが、その「自家用路線バス」はとある個人のお宅が住処なのだそうです。
今回は、そんな摩訶不思議な乗り物を、私なりにご紹介させて頂きます。
しかしながら、せっかくヘンテコな乗り物を紹介させて頂く訳ですから、私としてもただ普通に人間の姿をしてご紹介するのも、どうにも趣がありません。…そうですね、では今回はブラックバスの姿に変身させて頂いて(私はただ今ブラックバスの気持ちになっております…。…ぷかぷか…)、この記事を「バスのバスによるバスのための記事」とさせて頂きます。あっ、待って…帰らないで…。
体裁はふざけておりますが、ヘンテコな方たちをヘンテコに紹介すべく至って真面目に書いておりますので、最後まで読んで下さいますと嬉しいです…。
「自家用路線バス」の住処は…??
一言で申し上げますと、ここでいう「自家用路線バス」とは「古くなった路線バスを個人で買い取った、個人所有の大型バス」です。
登場人物は、件のバスとその所有者「センパイ(きば)」さんと「わすこ」さんの3名(1台と2名?)になります。
※以下、親しみを込めて「きば」さんのことをセンパイ、「わすこ」さんのことをわすこさんとお呼びします。
センパイは埼玉県出身、職業は大型ドライバーです。
ある日、ネットで見かけた中古の路線バスがどうしても欲しくなってしまい、衝動買いしてしまったのだそうです。
普通の住宅の駐車スペースに停めるにはどう考えてもデカすぎる大型バスも、センパイの手によって針に糸を通すように入庫/出庫がなされています。
運転の腕は確かで、時にはわすわさんに対して”鬼教官”となることも…。
※センパイはHTB制作のテレビ番組、「水曜どうでしょう」がお好きらしく、それは動画の編集やテンポ、企画など随所からヒシヒシと伝わって来て、私としても大変嬉しく口をニパニパさせております…。
わすこさんは群馬県出身、職業はデザイナーです。
元々は、普通自動車免許(AT限定)しか持っていませんでしたが、センパイに振り回されに振り回された挙句、大型二種免許を取得するに至ってしまったのだそうです。
そのため、初めて乗ったMT車が大型というおかしなことに…。
そして、動画のところどころに出てくるイラストやロゴも、わすこさんが書かれているそうです…。スゴイ…私も大変驚いて口をアングリさせております…。
そしてそして、バスは三菱ふそうの「エアロスター」MK-MP35JM。センパイたちが購入する前は、神奈川中央交通の平塚営業所で活躍していたようです。
神奈川中央交通、通称「カナチュー」は日本最大級の路線バス会社です。
神奈川県周辺に住んだことがある方ならば、その名前はまず間違いなく聞いたことがあると思います。
車両保有台数は約2,000台。保有台数で言えば日本一、路線数や運行数の規模で言っても最大級。福岡に拠点を持つ「西鉄バス」が西の横綱だとすれば、「カナチュー」は東の横綱です。
知らない方にも分かりやすくすると、鉄道で言うところのJRグループ、ハンバーガーで言うところのマクドナルド(つい先程までモグモグと食べていたから思い浮かんだ訳ではありません…。決して…。)、チョコレートで言うところのロイズみたいな…すみません、いよいよよく分からなくなって来ました。
とにかくデッカいバス会社なのです…。私も以前神奈川県に住んでいたことがありましたので、このバスではありませんが、同じ形式のバスによく乗っていました。
このバスに乗って山を越え谷を越え丘を越え、海を越え空を越え…まではいきませんが、食費を節約するために遠くの業務スーパーまで徒歩で向かって、帰りは重たい荷物を持ってバスに乗って帰ってくる…みたいな生活をしていた頃があって、その時に大変お世話になっていました。
カナチューが無ければたくさんの肉やら卵やら野菜やらを魚やらを持ったまんまでそこらへんの道端で倒れてしまっていたに違いありません…。
あっ、魚なのは私でした…。そうでした、私はブラックバスなのでした。(たった今その設定を思い出しました。)
そんなカナチューのバスが余生を歩んでいる姿がとても素敵ですし、これからどんな改造を施されるのか大変楽しみです。
少しマニアックな話になりますが、バスの車種は三菱ふそう「エアロスター」のMK-MP35JM。普段皆様が何気なく乗っている路線バスですが、いすゞ自動車の「エルガ」・日野自動車の「ブルーリボン」・三菱ふそうの「エアロスター」の3車種がほとんどを占めています。
バスなんていらないわ!!!アタクシには専属運転手がいますもの!!という超上級国民でない限りはこの3車種のうちいずれかには乗ったことがあるかと思います。
見分け方は…うーん、難しいですね…。ぐおおおんっ!って感じのがエアロスターでぐぐぐぐっっ!!って感じのがエルガでぶわあああっ!って感じのがブルーリボンです!!
…失礼、めちゃくちゃ脱線してしまいました。路線バスであれば「路線逸脱」となって運行管理者に連絡してお説教を受けなければならない脱線具合でした…。話を戻します。
お二人はYouTubeのチャンネルとTwitterのアカウントを運営されていて、「わすことセンパイ」というお名前で活動されています。
センパイの鬼教官ぶりとわすこさんのタジタジの運転ぶりが大変中毒性があります…。
というかわすこさんのタジタジ具合と運転の上手さのギャップがすごい!!
そして、正面の「Kanachu」を書き換えた「Jikayou」がかわいい。
さらに、お二人は自家用タクシーも所有されていて、ちょうどこの記事を書いている2022年12月14日現在、タクシーで全国一周の旅をしている最中なのだそうです。
さらに、お二方のステッカーが買えるお店も運営していらっしゃいます!
YouTubeの動画がどれも面白くて、大型路線バスを上手に活用した企画ばっかりでどこまでも見続けてしまいます。今回の記事では、そのうちいくつかをピックアップしてご紹介しようと思います。
流しそうめんだってできる。
本来ならこの路線バスが自家用に改造されて公道を走ってうんぬんかんぬん、というのを順を追って紹介すべきかもしれませんが、私はブラックバスなので地上にいることのできる時間が限られております(ウルトラマンみたいね…。)。私の一番好きな動画を先に紹介させて頂きます。
デッカ~~いバスを活かした企画ということで、このように車内で流しそうめん大会を開催することだってできてしまうのです。
どのくらいデッカいかと申しますと、長さ1075cm・幅249cm、高さ311cm。重さは10380kg、つまり約10t。
私たちブラックバスの体重は大体500gぐらいと言われておりますから、私たち20,000匹分です…。20,000ぴちぴち。想像ができないぐらいの大きさですね…。
そして、この大型バスに見合う規模の流しそうめんをするために、山で竹を切り出して来て割ってつなげて…という本格ぶり。
この流しそうめんは絶対おいしいはず。バスの車内なので、夜でも明るく使えます。
それにしても、何と流れ心地の良さそうな竹でしょうか。
私、淡水魚なので助かります。ちょっと通らせて頂いて…よっこらっ…どんぶらどんぶら…。
わわっっっ、どなたかに箸という名のさすまたで捕まってしまいました。そんなにも挙動不審だったでしょうか…。
私、野生のブラックバスとして泳がさせて頂いておりますので、あんまり美味しくないです…。ぴちぴち…。
ディズニーにも行ける。
…美味しそうで涼しそうな人間の罠に迷い込んだ私は、決死の抵抗の結果、なんとか野川に無事放流してもらえました。
それでは、気を取り直して次の動画を紹介させて頂きます。
こちら、夢の国と現実の国が交錯する時空の狭間です。…つまり、自家用バスでディズニーランドにお出かけするわすことセンパイの様子です。
わすこさんからのクリスマスケーキを、センパイがお返しするための企画ということで、自家用大型路線バスで二人でディズニー凱旋、なんと素敵なお返しでしょう(賛否両論及び諸説有り)。
これは大型あるあるですが、コンビニしかり飲食店しかり、大型車でのお出かけはとにかく駐車場が最大の問題です。
大型車用の駐車場があって、かつそれが空いていないと入れません。
駐車場を求めて永遠に現実世界の道路を彷徨うゾンビにならないといけません。
その点、ディズニーであれば全国から観光バスが発着していますから、居場所の心配はありません。
もっとも、大型車の個人利用はレアだとは思いますが。…そうですね、例えば長距離ブラック運転に疲れすぎて気がおかしくなったトラック運転手が、長きにわたる思考の現実逃避と葛藤の末に夢と現実の境目が分からなくなってフラフラと本能的にディズニーに迷い込んでしまう…そんなことが起こらない限りは。(真面目に言えば、キャンピングカーなどの大型車でのディズニー利用であればあり得ると思いますし、そういう方たちのために個人の大型駐車スペースもちゃんと用意されているようです。)
そして、いつもの流れであればわすこさんが(嫌々ながらも)運転して帰るところを、今回はなんと行きも帰りもセンパイの運転です。わぁ、センパイ、優しい…。(普段の鬼教官とのギャップでやられてしまいました)
それにしても、ディズニーであればちゃんと綺麗な水場がありますし、全て淡水ですから(ディズニーシーもディズニーランドも、海に繋がっているように見えて実は繋がっていません…。)、私にとっても大変居心地が良さそうです。
どれどれ、ちょっとお邪魔してみましょう。そうですねぇ、海底2万マイルあたりが見た感じ住みやすそうです。乗客の皆の注目の的になれそう。それでは入ってみます。よいしょ…ぽちゃんっ。
うわぁぁぁっ!!流石は海底2万マイル…。水圧が…強すぎて…まるで息が出来ません…。それどころか体が千切れてしまいそう…。
うわああっっ!!!なんか乗客の皆様、よく分からん動きで身をよじっている不憫な魚がいるらしいと生暖かい目で見ていらっしゃいます…。恥ずかしいから見ないで…。
こほんっ、不法侵入者がいたとのことで通報が入り、無事キャストの方から救出して頂きました。いやぁ、アブナイアブナイ。
お三方の幸せを祈って。
…というわけで、お三方(お二方と一台)の様子をご紹介させて頂きました。
通常、大手で使われていた路線バスというのは地方の会社に譲渡されたり、海外に譲渡されたり、経年劣化が著しいものはスクラップにされたり…とさまざまな運命を辿る訳ですが、その中で今回のエアロスターくん(性別どっち??)に関しては、センパイとわすこさんの下に引き取られるという類稀なる?余生を歩みます。
お二方の動画を見ていると分かりますが、お二方ともバスを大変大事に整備・点検して使っておられることが各動画から伝わって来ます。
将来的にはカナチューではなくてオリジナルのラッピングで全国を走るという夢もあるらしく…エアロスターくん、わすことセンパイのお二方ともに今後も幸せな人生を歩まれることを遠くから祈っています。
お二方の動画はまだ紹介しきれておりませんので、第2弾をご所望の方はその証としてコメント欄に好きなバスの形式あるいは好きな魚類を書いて頂ければと思います。
蛇足になりますが(いえ、私は蛇でもないですし魚なので足が無いので…尾ひれ羽ひれ?…あれ、全然意味が変わってしまいます…)、ブラックバスである私もどなたかに引き取って頂いて今後の人生を心配することなく生きていきたいものです…。
餌を頂く代わりにぷかぷかと泳いでパフォーマンス致しますので。
…と思っていたのですが、ブラックバスは日本では生きたまま持ち帰ることが禁止されておりまして…私の積年の夢はどうやら叶いそうにもありません。
これではとても悲しいので、勝手にあちこちの川に出向いて釣りをしている人間様の前にでくわして寂しさを紛らわせることに致します。
きっと、あちこちで害魚扱いされている私ブラックバスは、このようにして釣り人の前に度々姿を現すようになったのでしょう…。
どこかで見かけましたらほんの少しだけ大切に扱ってあげてください。きっと体をぺちぺちして喜びます。
それでは、今度こそこれで失礼致します。また次の記事でお会いできることを楽しみにしています。
コメント
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